アステラス製薬は、デジタル化に本腰を入れる。その一環として、つくば研究センターの“オール無線LAN化”を実現した。2008年に稼働した同センターでは、研究者が大量の実験データをやり取りし、ネットワークに接続される実験機器も増加するなど帯域不足を増長する課題を抱えていたが、ネットワークソリューションプロバイダー「HPE Aruba」の無線LANソリューションを採用し、足かけ2年の準備期間で今後6年間のトラフィック増に対応できる体制を整備した。研究所のオール無線LAN化は国内ではあまり例がないという。情報システム部ITインフラグループ課長の矢ヶ部泰法氏は、本紙のインタビューに応じ、「無線LAN化でIT設備費用を削減でき、新薬の研究開発スピードの向上にもつながる」と述べ、今後、様々な拠点でデジタル化に対する意識共有を図っていきたい考えだ。
同社のつくば研究センターは、19万1000m2を超える広大な敷地に10の研究棟、二つの厚生棟を擁し、おおよそ800人の研究者が1200台以上の機器をネットワークに接続し活用する。グローバルで展開する同社の主要なR&D拠点だ。新薬開発にスピードが求められ、インフラ環境が企業の競争力を左右する。ただ、高精細なレントゲン画像による癌細胞転移の解析や膨大なパターンの化合物の組み合わせの試行など、大量の実験データや画像・動画がネットワークを行き交い、他の通信が不安定になったこともあり、、実験装置を導入するたびに有線LANの工事を行うなど、ITインフラ環境の改善は喫緊の課題だった。
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