新薬承認の際に何らかの形で承認条件をつけられるのが2003年005年の直近3年に承認された新有効成分含有医薬品のうちの50%に上ることが、日本製薬工業協会医薬産業政策研究所の研究員の調査で分かった。背景には安全性の意識の高まりからくる市販後安全管理の強化、海外データの利用の進展で国内臨床データが限られていることがあるといい、今後も承認条件を付されるケースは増えるとの見方を示している。
研究調査は、笹林幹生主任研究員と安積織衛前主任研究員によって行われ、「承認条件としての市販後臨床研究の現状」として6月に刊行された政策研ニュースNo.20に掲載された。
調査対象は、2000年005年に国内で承認された新有効成分含有医薬品141品目。02年までと、03年005年までの2期間に分けて承認条件が付された品目の割合をみたところ、02年までは30.3%に対し、03005年は50%と半数に上った。うち全例調査を含む条件は02年までは6.7%に対し、03005年は32.7%だった。
背景には、オーファン指定品目には直近3年は全てに条件が付され、その全てが全例調査が求められていることがあるが、オーファン以外でも条件付きが増え、全例調査を求めるケースも増えていた。政策研は「承認条件の増加傾向は、新薬全体にみられる傾向といえる」と指摘している。
調査では承認条件の有無と臨床開発期間についても考察した。その結果、承認条件なしより条件付きの方が開発期間(中央値)が約16カ月短かった。これらの「因果関係は必ずしも明らかではない」と断った上で、「運用の仕方次第では開発期間を短縮させ、新薬の承認時期を早める効果を有する可能性もあると考えられる」との見方を示し、承認条件の有効な活用方法の検討を求めた。