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心不全チーム医療への参画を

2017年12月1日 (金)

 多職種による心不全のチーム医療を実践する病院が増えている。医療従事者の中でも先んじてチームに加わってきたのが看護師だ。「慢性心不全看護認定看護師」制度が2010年に発足。約300人の認定看護師が全国で活躍している。一方、薬剤師の取り組みは看護師に比べて遅れている。しかし、その必要性は高く、心不全チーム医療への参画が求められている。

 高血圧や心筋梗塞など様々な原因によって心臓の機能が低下した状態が心不全だ。心臓のポンプ機能が低下するために内臓に水分がたまってむくみが生じたり、全身に十分な酸素を送り出せないために呼吸困難が生じたりする。急性増悪による再入院を繰り返すたびに心臓や全身の機能が段階的に低下し、最後は死に至ることも少なくない。

 急性増悪をいかに抑制するかが、予後を良好に保つ上で重要なポイントになる。急性増悪は、塩分や水分制限の不徹底、服薬の不徹底、過労などで起こりやすい。逆に言えば、患者が日常の食事や生活、服薬に気をつけることで急性増悪の多くは予防できる。

 急性増悪を防ぐには、日常生活の注意点や服薬の意義を患者や家族に理解してもらい、日々実行してもらうことが欠かせない。そのために患者教育をしっかり行うことが医療従事者に求められている。心不全はどのような病態でなぜ発症したのか、なぜ薬を服用して血圧を下げる必要があるのか、日々の食事や水分制限をどのようにコントロールするのかなどを丁寧に説明し、理解を得る必要がある。

 患者や家族に理解してもらうべき内容は多く、医師1人ではとても伝えきれない。多職種がそれぞれの視点から関わることが重要で、薬物療法の説明は薬剤師が担うことが最も合理的だろう。

 入院中だけでなく、外来通院移行後のチーム医療体制の構築も必要だ。患者の多くは高齢者。入院中に多職種が手厚く関わって教育を行い患者の理解を得たとしても、外来通院移行後、その教育効果は経時的に薄れてしまいかねない。外来移行後も継続的にフォローし、必要に応じて再教育することが望まれる。

 いくつかの地域では、外来移行後のチーム医療に薬局薬剤師の参画を求める取り組みが始まっている。そのひとつ、兵庫県立尼崎総合医療センターは服薬などに問題がある心不全患者を対象に、外来移行後、薬局薬剤師が患者宅を1週間か2週間に1回の頻度で訪問して服薬管理を支援する連携を実施。実施症例数はそれほど多くはないが、再入院を抑制する傾向が認められている。

 こうした取り組みは全国でもまだごくわずかだ。今後は、全国の病院で心不全チーム医療への薬剤師の参画を進めると同時に、薬局薬剤師も加わった地域全体のチーム医療を構築することが重要になる。各地域の医療資源や関係性に応じて、様々なトライアルを実施してほしい。




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