日本製薬工業協会会長 畑中好彦

昨年は、一昨年末に決定された「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を受け、中央社会保険医療協議会を中心に、新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の抜本的見直しをはじめとする薬価制度の抜本改革に関する議論が行われ、年末には製薬産業にとって極めて大きな影響を与える改革案が提示されました。
革新的医薬品の研究開発・安定供給において、薬価制度は極めて重要な位置を占めるものであり、企業経営や開発戦略の観点からも、安定性・予見性のある制度設計が不可欠であると考えます。本年もステークホルダーの皆様との対話を重ねながら、引き続き業界としての主張や要望を行っていきたいと思います。
また、昨年の印象深い出来事として、官民による多くの対話と成果が挙げられます。「薬事に関するハイレベル(局長級)官民政策対話」は年間に3回の会合が行われ、条件付き早期承認制度の導入が実現しました。9月には「革新的医薬品創出のための官民対話ワーキンググループ」、10月には「革新的医薬品創出のための官民対話」が開催されましたが、これまでの医薬品、医療機器合同から、医薬品単独での会合となり、「医薬品産業強化総合戦略」の見直しについて検討が行われました。このように製薬産業が健全な成長を遂げていくためにも、主張や要望を直接政府に伝える機会が増えたことは大変意義のあることと考えております。
日本製薬工業協会は「イノベーション(革新的な新薬の研究開発)の促進による医療の質の向上、医薬品の価値を踏まえた経済発展への貢献」を事業方針の最優先課題に掲げています。本年も先進的な創薬を追求することで創薬イノベーションを実現し、日本をはじめ世界中の患者さんにその成果を届けることで、医療の質の向上、経済発展などに貢献してまいります。