冬季五輪で過去最多となる13個のメダルを獲得した平昌オリンピックが、25日に幕を閉じた。3月9日から始まるパラリンピックでも活躍を願う。
スポーツの祭典が終わり、一旦、テンションは日常レベルに戻ったが、医薬品流通業界を見渡せば、こちらは厳しい現実に引き戻される。
今年4月からは3年連続で薬価改定が行われる。ということは、毎年薬価調査をしなければならないので、調査を担う医薬品卸の負担は間違いなく増加する。
1月23日には、「医療用医薬品の流通改善に向けて流通関係者が遵守すべきガイドライン」を厚生労働省医政局長と保険局長の連名で通知し、関連する団体など41もの関係先に遵守を求めた。
通知にも書かれているように、これまで流通改善は流通当事者間の取り組みとして進められてきた。公正取引委員会を除けば、民間の商取引に行政が関与することは希であるが、今回は「国が主導」と明記されており、過去に例がないほど事は重大であるとの認識を持つべきであろう。
内容はというと、これまた以前とは比べられないほど具体的、かつ厳しい表現の留意する事項が列記されている。
川上では、一次売差マイナスの解消に向けて、医薬品の価値に基づく早期妥結・単品単価契約を進めるため、市場実勢価を踏まえた適切な一次仕切価の提示に基づく適切な最終原価を設定することとされている。
また、リベートに関しては、流通経費を考慮した卸機能の適切な評価、仕切価を修正するようなアローアンスは仕切価へ反映による整理を行い、契約により運用基準を明確化することと記された。
川下では、未妥結減算制度の趣旨を踏まえ、原則、単品単価契約が望ましいが、一気にできるとは思っていないようで、最低でも前年度よりも単品単価契約割合を高めることを求めている。
最も難しい課題である値引き交渉に関しては、「医薬品の価値を無視した過大な値引き交渉は、個々の医薬品の価値を反映した銘柄別の薬価収載を行う現行の薬価制度とは相容れない行為である」と指摘し、「安定供給や卸の経営に影響を及ぼすような流通コストを全く考慮しない値引き交渉を慎むこと」と厳しい表現を用いている。そのほか、返品の扱い、公競規の遵守、カテゴリー別の流通改善、業界に強く求められている流通の効率化と安全性確保にも触れている。
厚労省の関与としては、改善の見込みがない場合の駆け込み寺として「相談窓口」を設置しており、ここに寄せられた相談内容は公表し、是正が図られない場合には事情聴取、指導も行う。厚労省の本気度が見て取れる。
ガイドラインは、流通関係者全員が一体となって取り組み、遵守してこそ威力を発揮する。実際に行動する人次第である。