ベンチャー支援への理解訴求
厚生労働省が10~12日に横浜市のパシフィコ横浜で開催する「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2018」(JHVS2018)では、基礎研究・技術の実用化を目指す医療系ベンチャーと大手企業など支援者のマッチングの場を提供するだけでなく、業界関係者や行政によるシンポジウムやセミナーも充実させている。国立がん研究センター中央病院など質の高い治験や臨床研究を行う臨床研究中核病院によるプレゼンテーションのほか、医療分野における人工知能(AI)の活用などを参加者同士で議論するワークショップなどを初めて実施。これらのイベントを通じて、サミット参加者のベンチャー支援に対する理解を深めたい考えだ。
JHVS2018では、国内のベンチャーやアカデミアの優れたシーズの実用化を目指し、支援パートナーとなり得る大手企業、ベンチャーキャピタル、研究機関などとの出会いの場を提供する。2回目となる今回のサミットでは、医薬品・医療機器・再生医療等製品などの業種を中心に、ベンチャーキャピタル等の支援機関も含めて100社以上が参加し、個別ブースを設けて事業内容を展示するが、ベンチャー支援に対するサミット参加者の理解を深めてもらうため、業界関係者や行政によるセミナーなどのイベントも昨年より充実させている。
11日に開催予定の「国際シンポジウム」では、グローバルにオープンイノベーションを展開している外資系製薬企業の視点から、海外ベンチャーと国内ベンチャーの現状について講演。また、「医療系ベンチャーのエコシステムを確立していくために」をテーマに、厚労省がベンチャー支援の取組みを紹介した上で、有識者と行政を交えたパネルディスカッションを行う。
昨年の出展者から「シーズを臨床開発に移す際に、病院へのコンタクト方法がわからない」との声が寄せられたことから、国立がん研究センター中央病院や大阪大学医学部附属病院など、革新的医薬品・医療機器開発に必要な質の高い治験や臨床研究を提供する臨床研究中核病院6施設が参加し、得意とする疾患領域など具体的な支援内容の説明を行う。病院側によるプレゼンテーションは今回のサミットが初となる。
今回のサミットでは、「ハーバーセミナー」と「ミートアップ」も初めて開催。ハーバーセミナーでは、厚労省と中核病院6施設が事業内容を紹介後、ベンチャーと中核病院がより良い連携を取るための具体策を論点に、創薬や産学連携の有識者によるパネルディスカッションを行う。さらに、AI、ロボティクス、バーチャルリアリティを活用した医療などの各テーマについて参加者が議論するワークショップも実施する。
一方、ミートアップはパネリストと参加者の自由な意見交換、参加者同士の交流を狙いとしており、女性のヘルスケアビジネスに関する世界的な動向や、米国と中国を中心とした起業の動きをパネリストが紹介する予定だ。
参加登録は、ホームページ(https://www.jhvs2018.jp/)で受け付けている。