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財務省の財政制度等審議会は3日、来年度予算編成の基本的な考え方を示す意見書(建議)をまとめた。建議では、2007年度から11年度までの5年間で社会保障関連予算を1.1兆円削減(年当たり2200億円の計算)に取り組む「(政府の)歳出改革の方針に沿って、さらなる給付の合理化・効率化に取り組まなければならない」と歳出削減路線の堅持を強調した。この中で、後発品の使用促進に触れ、「より一層の努力が求められる」と指摘。これまでも提言してきた保険免責制や参照価格制の導入、OTC類似医療用薬の保険外しなどを挙げ、「引き続き聖域なく検討していく必要がある」とした。
建議は3日、額賀福志郎財務相に提出された。財務省は、政府の「骨太の方針2008」への反映を目指す。
建議は、社会保障関連予算に対するマイナスシーリング撤廃を求める声などに対し、「歳出圧力の増大は大いに懸念を持つものであり、現在進められている財政健全化に向けた取り組みの手綱を緩めてはならない」とし、将来の安定した国民生活のため、社会保障分野を含め、財政改革の必要性を前面に打ち出した内容。一方で、今後増大する社会保障給付のため、「安定的な財源確保の方策についても、具体的な検討を早急に行う必要がある」と、税制改革の必要性にも触れた。
医療分野では、病床数の多さ、入院日数の長さ、外来受診回数の多さに問題意識を示すと共に、後発品に触れ「国際的にみて後発品の使用が少ないわが国においても、より一層の努力が求められる」と指摘した。
また、医師不足問題や、病院と診療所の診療報酬上のアンバランスも対策が必要だとし、医師と他の医療従事者の役割分担の見直し、病院と診療所の役割・機能に応じた財源の配分を強化すべきだとした。
そのほか、介護保険制度に対し、00年の制度実施時に比べ、介護費用額が約2倍、保険料が1.4倍と増大し、今後も増加が見込まれることから、このままでは「保険料・税負担を継続的かつ大幅に引き上げていかざるを得ない」とし、「給付の伸びの抑制努力」を求めた。
雇用保険にも触れ、積立金が1.2兆円に上り、制度が安定しているとして、国庫負担の廃止を視野に検討を求めた。
科学技術予算に対しては、海外の大学に見られる民間や非営利団体からの研究資金の導入や、自己収入増大に向けた取り組みを求めた。また、研究費の不正対策や繰り越し制度の適切な活用も必要だとした。
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西室泰三会長(東京証券取引所グループ会長)は3日に記者会見し、社会保障関連予算の伸びの抑制で「(社会保障の)綻びで被害を受けている人がいるのは事実」としながらも、自然増の額が大きく「チェックしないと必ず無駄な使い方がどんどん出てくる。それを避けるためにも、たとえ社会保障でも(伸びの抑制は)やっておかなければならない」と、マイナスシーリングの必要性を強調した。
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