国立がん研究センター先端医療開発センタートランスレーショナルインフォマティクス分野の土原一哉氏は16日に都内で講演し、今年中の保険収載が見込まれている癌遺伝子パネル検査について、治験の条件に合った被験者集積が難しい実態を明らかにした。検査を行った患者約6000人のうち、既存の抗癌剤が標的とする遺伝子変異を持つ患者が約4割にとどまるとの米国の事例を紹介し、「癌ゲノムスクリーニングで治療の標的が見つかっても、実際に治験に参加できる患者は限られてしまう」との課題を挙げた。
癌遺伝子パネル検査は、生検や手術などで採取された癌の組織から、次世代シークエンサーが大量の遺伝子を高速で調べ、遺伝子変異を見つける検査。土原氏は、癌遺伝子パネル検査を通じて臨床情報が集積されることにより、「単純に薬剤を選択するだけでなく、効かない治療を避けることにもつながる。高価で副作用の強い薬剤を避けられることは大きい」と述べた。
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