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日本医療機能評価機構・医療事故防止センターが18日にまとめた103月までの医療事故報告書によると、事故は286件で、このうち薬剤に関連したものは23件だった。▽薬剤の過量投与▽投与経路の間違い▽薬剤取り違え――などのケースを紹介し、医療現場に対し注意を呼びかけた。輸血療法関連の医療事故では死亡例が報告された。
薬剤取り違えのケースは、低出生体重児への浣腸に、グリセリン液ではなくエタノール消毒液を用いてしまったもの。4人のうち3人が粘血便を排泄したため、浣腸液を確認したところ、廃棄した注射器の残液からアルコール臭を認め、薬剤取り違えが発覚した。
薬剤の過量投与は、抗悪性腫瘍剤「エクザール」を10倍量投与してしまったケース。エクザール5.5mgを処方するところを、処方医が誤ってエクザール10mgを5.5本(55mg)と入力してしまい、そのまま投与された。薬剤オーダーシステムで異常の場合はワーニングが表示されるが、ワーニングの表示回数が多いため、警告としての機能を果たしていなかったという。
このほか、手術を予定していた患者に腰椎麻酔を行い、抗生剤を投与した後、一時心肺停止となった事例も報告された。腰椎麻酔「マーカイン」または抗生物質「パンスポリン」のアレルギーによるアナフィラキシーショックが原因と考えられたが、術前の問診では抗菌薬や局所麻酔剤のアレルギーを示唆する患者からの報告もなく、外来でも問題なく局所麻酔剤を使用していたため、アレルギー歴はないと判断していた。
また今回は、輸血療法に関連した医療事故が取り上げられた。2006年1月1007年12月31日までの2年間に報告された医療事故は死亡例を含め10件だった。
患者が死亡したのは、再生不良性貧血で易感染状態にある患者に、ブドウ球菌に汚染された血小板製剤を使用してしまったケースで、これが引き金となり病状が急速に進行した。評価機構では、「輸血は製剤の取り違えや血液型の誤認など様々な段階で発生し得るもの」とし、注意を呼びかけた。
一方、報告された事故一歩手前のヒヤリ・ハット事例は、昨年10月012月までの3カ月間で5万3250件。最も多かったのは、処方・与薬(1万1733件、22%)で、確認が不十分だったことによるものが3万3502件(23・9%)で突出して多かった。
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