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【2019年回顧と展望】令和時代も研究開発を通じ健康長寿へ貢献‐製薬協専務理事

2019年12月27日 (金)

日本製薬工業協会専務理事 川原章

川原章氏

 わが国にとって、本年の最大のイベントは何と言っても新天皇即位・改元ということになろう。秋には即位に伴う数々の行事も執り行われ、5月からは令和の時代が始まっている。また、参議院議員選挙、消費税率引き上げ、ラグビーワールドカップやローマ教皇訪日などの話題があり、さらに医薬品医療機器等法改正案の成立という大きな出来事もあった。関東甲信越を中心に台風による強風や豪雨、洪水被害が目立った年でもあった。

 日本製薬工業協会は、年初に「政策提言2019」を公表した。3年前に「製薬協産業ビジョン2025:世界に届ける創薬イノベーション」を発表しており、このビジョンも俯瞰しつつ、中長期的な提案として「イノベーションによる社会的課題の解決に向けた製薬業界の基本的考え方」を発信したものである。

 全体像としては、「テクノロジー新時代のイノベーション創出に向けた環境整備」と「イノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立を求めて」から構成されており、前者については後ほど詳述する。

 国際情勢は、北朝鮮情勢、イラン中東情勢、香港情勢、米中貿易摩擦など不安定要素として気がかりな状況があり目が離せないものの、小康状態といった状況である。懸案の日米経済協定も、年末には国会承認も得られた。近隣他諸国との関係強化は重要性を増してきていると考えられ、日韓関係もいくぶん持ち直している。

 混迷していた英国のEU離脱問題は、今月の総選挙結果を踏まえ、来年早々に離脱実現が確定的となった。今後は離脱の合意条件等に注目が集まっている。欧州医薬品庁(EMA)は4月にロンドンからアムステルダムに移転したが、英国医薬品医療機器庁(MHRA)が今後EMAとどのような新たな協力関係を構築していくのか注視する必要がある。

 一般的には英国の一層の米国との関係強化が予測される中で、英語を公用語とする米国FDA、ヘルスカナダHC、オーストラリアTGAによるORBISなる共同審査システムが稼働し始めていることにも注目しておきたい。

 このような中、年末に20年薬価基準制度改革の方針決定が行われた。10月に消費税率アップに伴う薬価改定に続いての見直し・改定である。前回の薬価制度の抜本的改革は、高次元の理念を基本方針にしていたものの、結果的には新薬への研究開発投資を回収できないリスクを高めるなど、業界側としては大きなダメージを受けた内容であった。

 今回も十分とは言えないものの、いくらかなりとも創薬イノベーションを支援するエコシステム構築に向かおうとする動きも感じ取れる内容にまとめられた。もとより、イノベーションの推進と国民皆保険の持続性の両立は容易なものではないが、新薬研究開発ひいては国民の新薬へのアクセス等へ悪影響を及ぼすことがないよう、イノベーション創出エコシステム構築・環境整備が進展することが望まれる。

 一方、政策提言のうちテクノロジー新時代のイノベーション創出に向けた環境整備の部分については、[1]予防・先制医療ソリューションの早期実用化[2]健康・医療ビッグデータおよびAIの開発・活用[3]ヘルスケアイノベーション創出エコシステムの構築――の三つの課題に向けた九つの具体的な提案については、一部取り組みを開始しており、できるだけ早く本格化させる必要がある。

 医療分野の研究開発基盤整備という面からは日本医療研究開発機構(AMED)が設立5年目を過ぎようとしており、20年には次期健康・医療戦略の開始と共に、第2期中期計画期間に入る。予算・組織規模を考慮すれば、素晴らしい成果を挙げているものと評価できると思われる。

 AMEDと共に、新薬創出のエコシステムにおいて重要な役割を果たしてきたPMDAについては設立後15年が経過し、4月には藤原新理事長が着任された。PMDAの前身の国衛研・審査センター(PMDEC)時代から新薬等の臨床評価に関わり、組織の変遷や発展進化の過程も熟知されていることから、近藤前理事長が樹立された世界的な立ち位置を一層発展させていただけるものと確信している。事実、日本(PMDAの審査結果等)がレファレンスカントリーとなった国数も着実に増加してきている。

 薬機法改正案は通常国会で継続審議となったものの、秋の臨時国会で審議が進み成立した。この間の関係各位の努力には深く敬意を表したい。来年には、施行に向けた動きが順次本格化するものと思われる。国民にとってより適切な革新的新薬創出のためのエコシステム構築が進展したと実感してもらえるよう産業界としても取り組まなくてはならない。

 来年は東京オリンピック・パラリンピックの年である。また、ICHは30周年を迎える。しかし、日本社会は22年から団塊世代が75歳以上の年齢層に加わり始めることから、超高齢化社会に本格的に突入する。このための準備は待ったなしであり、来年の骨太方針は苛烈な議論の先にまとめられることになると思われる。厳しい議論も予想されるが、議論の前提として、政策提言19に基づく研究開発と国際展開を通じた健康長寿社会実現への貢献にも愚直に邁進しなければと考えている。




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