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現在、国が進めている医療制度改革では、各都道府県ごとに医療費適正化計画を策定することとなり、4月から取り組みが始まっている。とりわけ自治体レベルでは、特定健康診査・保健指導の実施による生活習慣病の予防など健康保持の増進と、療養病床の再編、医療機関の機能分化・連携など効率的な医療提供の推進に主眼が置かれている。
効率的な医療提供の一環として、厚生労働省は昨年秋、2012年度までに後発医薬品(GE薬)の使用割合を30%超とする目標を盛り込み、「後発医薬品の安心使用促進アクションプログラム」を策定した。これを踏まえ、今年4月から原則GE薬とする処方せん様式の再変更、受け入れ側の薬局に対して調剤体制加算、GE薬の流通整備などの使用促進策が講じられている。
GE薬の使用促進に向けた取り組みの一つとして注目されるのが、都道府県レベルでのGE使用促進のための協議会設置の行方である。厚労省は今年度から、そのための事業費を予算化した。さらに09年度予算の概算要求では、GE使用促進事業に2億9000万円を要求したが、その中では協議会設置などの使用促進対策費として大幅増の9100万円を充て、各都道府県の活動をさらに充実させていく考えだ。
現在、このGE使用促進協議会については、3分の2程度の自治体で設置、もしくは設置方針が示されているようだ。協議会の設置に関し、国の事業化に先行して取り組みを進めてきた富山県や福岡県などの事例は、これから協議会を設置する自治体にとって、参考になる点も多いはずだ。
04年度から協議会を設置して使用促進事業を手掛けてきた富山県では、全国で初めてGE薬の採用基準を作成し、公表するという大きな成果を得た。同県ではGE薬を製造販売するメーカーが、数多く拠点を構えているため、地域産業の振興という側面から、取り組みやすかったという背景はある。
また、老人医療費の額が全国1位の福岡県は、今年度に策定した県の医療費適正化計画の中で、GE薬の普及推進を明文化した。国と同様、GE薬の普及率目標を、30%以上と設定した。同県では、昨年度からGE薬使用促進協議会を設置し、既に採用マニュアルの作成や、県民啓発用のポスターやリーフレットの配布を行っている。
福岡県の取り組みで特に注目されるのが、溶出試験の実施。流通過程でGE薬をピックアップして、先発品のデータと比較測定し、その結果を協議会に報告するという仕組み。昨年実施した試験では、対象とした全製品が溶出規格を満たしていることが確認された。さらに今年度は、7月の追補収載で34社が発売した「アムロジピンベシル酸塩」について実施する計画を示している。
都道府県におけるGE薬使用促進事業で、取り組みの中心となるのは薬務主管課である。厚労省は全国の都道府県に、事業予算を委託の形で配分するという。
ただ自治体の薬務関係者の一部からは、「税金を投入して、特定企業の後押しをする形にはしたくない」との声も聞かれる。しかしGE薬使用促進事業は多かれ少なかれ、都道府県の医療費適正化計画などに組み込まれているはず。GE薬の使用を適切に促進することは、都道府県全体の方針である。その持つ意味を改めて噛みしめ、地方薬務行政の前向きな対応を期待したい。
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