日本薬剤師会がまとめた「後発医薬品の使用状況調査」中間報告によると、後発品の使用に「あまり積極的でない」と回答した薬局が3割以上に上り、政府や行政、日薬など中央の方針とは裏腹に、後発品使用に二の足を踏んでいる現場薬局の本音が浮き彫りになった。そうした姿勢を反映してか、変更不可欄に署名のない処方せんのうち、1品目でも後発品に変更したのは3・4%と、極めて低い数字にとどまった。19日の中央社会保険医療協議会総会に報告した。
調査は9月分の状況を知るため、2000薬局を対象に実施、450薬局から回答を得た(回収率22・5%)
全体の取り扱い処方せん状況では、全ての取り扱い処方せんのうち、「1品目でも後発品を調剤した処方せん」は42・9%。一方で、「変更不可欄に署名のない処方せん」のうち、「1品目でも先発品を後発品に変更した処方せん」は3・4%にとどまった。また「変更不可欄に医師の署名等がある処方せん」は35%に上った。
後発品使用に対する考え方では、「後発品の説明・調剤にはあまり積極的に取り組んではいない」が最も多く34・7%を占めた。「薬効によっては後発品を患者に説明して、調剤するよう取り組んでいる」は31・1%、「特にこだわりはない」が20・9%だった。
積極的に取り組んでいない理由(複数回答)としては、▽近隣の医療機関が使用に消極的▽品質に疑問▽効果に疑問▽安定供給体制が不備””などが多かった。
後発品調剤率別にみた薬局の分布では、「30%040%未満」が最多で31・7%、次いで「40%050%未満」が23・6%。また、後発医薬品調剤体制加算の要件を満たさない30%未満の薬局も14・8%あった。
1カ月間に1薬局が受け付けた処方せんは、平均して31・7施設から1356・6枚。うち、変更不可欄に署名のある処方せんがほとんどを占める医療機関は26・8%に上った。
1カ月間に「変更不可欄に署名のない処方せんを1枚以上取り扱った薬局」は98・5%と大半を占めたが、そのうち「1品目でも先発品を後発品に実際に変更した薬局」は77・5%で、「変更しなかった薬局」も22・5%あった。
数量ベースでみた後発品の使用率は「10020%未満」が最も多く24・2%で、次いで「30040%未満」13・6%、「20030%未満」12・4%と続いている。
4月以降、後発品への変更が可能な処方せんを持参した患者のうち、後発品についての説明を行った割合は、「10%未満」が最も多く38・2%と4割を占めた。また、説明を行った患者のうち、後発品を希望しなかった割合は「10%未満」が最多で34・4%だった。その理由は、▽薬剤料等(患者自己負担額)の差額が小さい▽後発品に対する不安がある””が多かった。
さらに、後発品調剤をした患者のうち、2回目以降に後発品を希望しなかった割合は「10%未満」が90・7%と大半を占めた。
一方、後発品をすぐに揃えられずに変更しなかった割合は、「10%未満」が55・8%と半数以上だった。
報告した山本信夫委員(日本薬剤師会副会長)は、「35%の薬局があまり積極的には取り組んでいないとの結果に衝撃を受けた。われわれは後発品を積極的に使用していく方針を持っており、この調査結果を重く受け止めている。後発品についてはさらに会員に理解を求め、指導を進めていきたい」と述べた。