ライオンのビューティケア研究所は、30代男性に特有のニオイが、ペラルゴン酸(ノナン酸)に起因することを突き止めた。ペラルゴン酸は、使い古した食用油に似た独特の臭いを発する飽和脂肪酸。また、臭いが発生するメカニズムの解明や、その抑制成分の開発にも成功した。
同社が20040代の男性を対象として、いつが“男の曲がり角”に当たるかを聞いたところ、「体臭が強くなる」時期を挙げ、年齢は34・7歳であった。また、20050歳代男性の約5割が、自分の臭いを気にしていることも分かった。そこでビューティケア研究所は、30代男性が変化したと感じる臭いの原因物質は何か、さらに発生メカニズムや抑制方法について解明を進めた。
今回の研究では、男性の体臭がどのように変化するのかを明らかにするため、10070代の男性148人が14時間着用したTシャツから、腋と体幹部(胸・背中など)における▽臭気の強さ▽臭気の不快度▽臭いの質――を専門の研究員が評価した。
臭気の強さと臭気の不快度には、年代による違いは認められなかった。しかし、臭いの質という面では、30代男性の体幹部には独特の油っぽい臭いのあることが分かり、これは10代男性の臭いや、加齢臭の原因物質であるノネナールとは明らかに異なっていた。
そこで研究グループは、臭いの原因物質を特定するため、30代男性が着用したTシャツから臭い成分を抽出・濃縮して微量分析を行い、30代男性に固有の臭いを特徴づける物質が、ペラルゴン酸であることを明らかにした。30代の男性は皮脂分泌量がピークにあり、体幹部には皮脂腺が数多く存在するため、研究グループは「体幹部から分泌された皮脂が酸化され、一部がペラルゴン酸に変化した」と推定している。
研究グループでは、約90種類の抗酸化物質について、皮脂の酸化抑制効果を測定し、「メマツヨイグサ抽出液」が高い酸化抑制作用があることを見出した。また、30代男性にメマツヨイグサ抽出液を使用し、臭気抑制効果を示すことも確認した。
メマツヨイグサ抽出液はポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用などを有することが知られている。そのため、化粧品原料などに用いられているが、体臭の発生を抑制する作用があることを確認したのは、今回が初めてだ。
同社は今回の研究を応用して、30代男性に向けた商品の開発を進めており、来春の発売を目指している。