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【NSAIDs潰瘍】防御因子増強剤の予防効果は不十分

2006年7月31日 (月)

右から島根大教授の木下氏、奈良医大の矢島助教授、同大の山尾講師
右から島根大教授の木下氏、奈良医大の矢島助教授、同大の山尾講師

 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による胃潰瘍など胃粘膜傷害を防ぐために、多くのケースで胃粘膜を保護する防御因子増強剤が併用されているが、奈良県立医科大学などの研究チームが日本人を対象に臨床試験を行った結果、予防効果は不十分であることが明らかになった。試験では、胃酸の分泌を抑えるH2ブロッカーの方が胃粘膜傷害を有意に改善する結果だった。医学専門家として試験計画の助言などを行った島根大学医学部の木下芳一教授は、「現在の治療を見直す必要がある」と指摘し、NSAIDsによる胃粘膜障害にH2ブロッカーの使用を促している。

 臨床試験は、GCPに準拠し、関節リウマチなどでNSAIDsを使用している日本人患者の胃粘膜傷害の発症頻度と、保険適用範囲内での胃粘膜傷害の対処法を検討した。奈良県立医大の整形外科教授の高倉義典、同大第3内科教授の福井博の両氏が試験調整医師となって行われた。

 261人の患者を対象に実施した発症頻度の検討では、63%の患者に潰瘍や胃炎といった胃粘膜傷害が発現していることが判明。自覚症状がない188例でも58%に傷害が見つかった。

 薬剤別の発現率は、ジクロフェナク投与患者(36例)では83%。胃に比較的やさしいと言われ最もよく使われるロキソプロフェン(94例)でも58%、メロキシカムとエドトラク(42例)という新しいNSAIDsでも55%に上った。

 胃粘膜傷害を防ぐため、防御因子増強薬は96%に投与されていたが、62%の患者に傷害があり、同薬は傷害発生を防ぐには不十分であることが示された。

 その上で、傷害に対する対処法については、胃粘膜傷害があり(潰瘍患者は除外)、試験に同意した129人を対象に、防御因子増強薬のレバミピド(1日300mg)とH2ブロッカーのファモチジン(1日20mg)を無作為で割り付け、4週間投与して比較。傷害の程度が悪いほど高い値となる「LANZAスコア」を用いて評価した。

 投与前は両群とも中程度のスコア2.4だったが、投与後はレバミピド群が2.2とほとんど改善しなかったのに対し、ファモチジン群は1.3と有意に改善。両群間の差も有意だった。傷害が完治したことを示すスコア・ゼロとなった患者は、レバミピド群が18.2%に対し、ファモチジン群は45.6%に上った。副作用は重篤なものはなく、発現頻度も両群同程度だった。

 試験結果を受け、島根大の木下教授は「出血性潰瘍を起こした場合、2カ月の治療で約40万円かかる。比較した両剤とも薬価は1日60円程度で済むことを含め、治療の効果の高いH2ブロッカーの使用が奨められる」とした。昨年出版された胃潰瘍診療ガイドラインでも,日本で市販されている多くの胃粘膜防御系薬剤が,潰瘍治癒率からみてその使用根拠が不明確であるとされているが、胃潰瘍診療ガイドラインへの試験結果の反映については、「他の試験を含めた検討になる」とし、課題だとした。

 さらに同教授は、自覚症状がなくてものみ続ける予防的投薬も提案したが、いつまでのみ続け、傷害が完治した場合の服用の継続の要否については、別途試験が必要だとした。




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