2022年度予算の概算要求項目と額が8月末にまとまった。全体の一般会計要求総額は111兆円を超えて過去最高を続けているという。
7月7日に閣議了解された概算要求に当たっての基本的な方針では、「経済財政運営と改革の基本方針2021」と「同2018」で示された「新経済・財政再生計画」の枠組みのもと、「手を緩めることなく本格的な歳出改革に取り組む。歳出全般にわたり、13年度予算から前年度当初予算までの歳出改革の取組を強化すると共に、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化する」と歳出改革に意気込みを示している。
歳出総額の3分の1を占める社会保障費の年金・医療等については、前年度当初予算額に伴ういわゆる自然増6600億円を加算した範囲内で要求することになった。
来年度予算では、グリーン、デジタル、地方活性化、子供・子育てへの予算重点化を進めるため、「新たな成長推進枠」が設けられたことが特筆される。
厚生労働省の概算要求額は33兆9450億円で、前年度に比べて8070億円の増となった。そのうち、年金・医療等の経費が31兆7791億円、新たな成長推進枠が2228億円である。
厚労省の重点要求の一つである「新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえた柔軟で強靱な保健・医療・介護の構築」では、▽新型コロナウイルス感染症から国民を守る医療等提供体制の確保:56億円(前年度当初予算額28億円)▽検査体制の確保、保健所・検疫所等の機能強化、ワクチン接種体制の構築:29億円(18億円)▽ワクチン・治療薬等の研究開発の推進:19億円(12億円)▽研究開発体制の強化:680億円(554億円)▽医薬品・医療機器等の開発促進:97億円(94億円)▽地域医療構想・医師偏在対策・医療従事者の働き方改革の推進等:1822億円(1725億円)▽救急・災害医療体制の充実:129億円(116億円)――がそれぞれ計上されている。
医薬・生活衛生局、医政局、健康局の要求項目概要は既報の通りである。やはり新型コロナウイルス感染症対策関連がトップに掲げられ目玉となっているが、医療・医薬が国民の健康に貢献するために取り組むべき領域はそれだけではない。健康増進・予防から、感染症、癌、循環器疾患、肝炎、難病・特定疾病などへの対策を進めなければならず、そのための予算も要求されている。
予算は今回の概算要求、年末に向けての編成を経て、国会で可決承認されるが、数字を計上して確定することが目的ではない。その予算を効果的、効率的に使って、いかに要望した項目を実現していくかが本来の姿である。これまでの予算執行における反省点も踏まえつつ、実効性のある施策実現を期待したい。