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ワクチンに異物、管理体制再考を

2021年09月03日 (金)

 モデルナ製ワクチンの異物混入問題をめぐり、大きな混乱が生じている。

 国内でモデルナ製ワクチンの流通管理を担う武田薬品が8月26日にワクチンの一部ロットに異物が混入したとして、約163万回分の使用を見合わせると発表。同28日には使用を見合わせている対象ロットを接種後に30代の男性2人の死亡が報告された。接種との因果関係は分かっておらず、モデルナと武田、厚生労働省が調査を実施していくという。

 厚労省はモデルナ製ワクチンについて1億回分の供給契約を結んでいる。接種対象年齢も16歳以上から12歳以上に引き下げられた。ワクチン接種者に対する新型コロナウイルス感染症への発症予防結果を見ると、明らかに有効性が示されているだけに、今後の接種への影響が心配だ。

 これまでモデルナ製ワクチンは45カ国で1億1000万人以上に使用されてきた経験はあるが、粒子状異物に関連した品質情報は報告されていないという。異物混入が製造過程で起こったものなのか、接種会場でのワクチン調製段階に発生したのかで問題の本質が変わってくる。

 モデルナはmRNAワクチンを強みとするバイオベンチャー。設立からわずか10年と企業としての歴史も浅く、ワクチンの製造はスペイン企業に外部委託していた。

 同じく新型コロナウイルス感染症ワクチンを供給している米ファイザーや英アストラゼネカのように、多くの製品を世界で供給してきた実績はない。製造販売企業として外部製造委託先を管理してきた経験も乏しいのが現状だ。

 ベンチャーが海外製造したワクチンを国内の接種会場に流通させていく中で、川上のサプライチェーンにおけるチェック体制や、万が一、リスクが生じた場合に検出する仕組みが事前に講じられていたか。海外から原料を調達する後発品メーカーも似たような問題を抱えているだけに、武田には改めて管理体制を点検してほしい。

 接種会場でのリスク管理プロセスも検討が必要だ。ワクチンへの異物混入を発見したのはワクチン接種に協力した薬剤師だった。接種会場の多くでは、薬剤師が使用前にバイアルに変色、異物の混入その他の異常がないか、目視で確認するプロセスが導入されている。

 ワクチン接種を担う医師や看護師とは異なり、ワクチン監査は地味な業務である。国民の健康を守る最後の砦として薬剤師が職責を果たしていることを忘れてはならない。

 接種会場ごとに薬剤師の希釈・充填作業、監査業務で定められた手順が異なる。医師や看護師、薬剤師がチームとなって接種を行える協力体制も大事で、少しでも綻びが生じれば大きな問題につながる。

 リスクに対応した接種会場の運用プロセスを全国で共有し、国民が安心して接種できる体制を望みたい。




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