グラクソ・スミスクライン(GSK)、GSKバイオロジカルズ、化学及血清療法研究所は、新型インフルエンザ発生時に、国内で生産するパンデミックワクチンに関する技術開発提携で基本合意した。細胞培養法とGSK独自のアジュバント(免疫増強剤)技術を組み合わせることで、新たなパンデミックワクチンの大量培養法の確立を目指す。今後、正式な契約が行われる見通しで、新型インフルエンザワクチンの開発に向け、外資系企業と国内研究所の提携に弾みがつく格好となりそうだ。
今回の提携は、GSKと化血研の持つ細胞培養技術と、GSKのアジュバント技術を組み合わせ、予防効果の高いパンデミックワクチンの開発を目指すもの。新型インフルエンザの発生後、全国民に予防ワクチンを供給するまでの時間短縮も目的としている。
現在、新型インフルエンザワクチンの開発には、発育鶏卵が使われているが、この方法では新型インフルエンザウイルス同定後、全国民分のワクチンを生産するまでに最短18カ月かかると言われている。今回、両社は、新たな細胞培養技術によって、ワクチン生産までの時間を短縮し、迅速なワクチン供給につなげたい考え。
既に化血研は、国家主導の新型インフルエンザ対策の一環として、2004年から新型インフルエンザワクチンの臨床試験を進め、昨年4月に承認申請を行っている。また、プレパンデミックワクチンの原液を製造し、国家備蓄にも協力している。
一方、GSKは昨年5月、発育鶏卵に独自の免疫増強剤を添加したH5N1型プレパンデミックワクチンについて、欧州で承認を取得している。現在、国内でも昨年9月から、H5N1型プレパンデミックワクチンの臨床試験がスタートしており、同社は今年中の申請を目指したいとしている。