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ネット販売は別途検討の場を

2009年2月6日 (金)

 6月1日の改正薬事法施行まで4カ月を切った。大きな転換期を迎えることになる一般用医薬品の販売制度だが、その「施行規則の一部を改正する省令」も間もなく発出される見通しだ。厚生労働省も、昨年の省令案に対するパブリックコメントを受けて、最終調整を進めている。しかし、その中で今なお燻っているのが「一般薬の通信販売の継続」、いわゆるネット販売規制に反対する声である。

 周知の通り省令案は、一般薬の通信販売は、販売時に情報提供規定のない第3類薬に限定している。そのことが「消費者の利便性を阻害する」という。ネット通販規制反対論の主張は、その点にポイントが置かれているようだ。

 先月中旬、大学教授など有識者が呼びかけ、一般薬の通販継続などを求める会合が開かれた。その模様がネット上でも配信されており、それを見て、そのように感じた。

 会合では、ネットを活用して一般薬を購入している消費者の生の声も聞かれた。その中では、離島生活者や視覚障害者らが、ネット上で一般薬を購入できることが、いかに有意義なことかというコメントを寄せていた。それぞれ個人的な感情としては理解できるが、いずれにしても極端な例のように思う。

 一般薬の販売・購入に関しては、利便性も大きなポイントになるだろうが、やはり安全性を上回る要素ではない。改正法では、医薬品をリスク区分し、それぞれの販売時における専門家の関与を明確に位置づけている。そのことで、リスク回避を図ることが大きな目的のはずだ。昨年の「ネット販売が店頭販売に比して、安全性で劣ると判断する根拠」を求めた規制改革会議の質問に対しても、厚労省は「購入者側のその時点の状態把握が困難である」と回答している。

 ネット通販の利便性を否定するものでは全くない。ただ、医薬品の場合、突発性の副作用が発現したときなどは、やはり双方向で即時的なコミュニケーションが必要なケースもある。「医師、薬剤師に相談」とパッケージには記載されているが、通常は、購入店舗で、医薬品販売の専門家としての資質を備えた薬剤師や登録販売者に相談するというのが一般的ではないか。その点で、対面販売に勝るとも劣らない販売システムの構築がネット上でできるかどうかだが、今のところは未知数だ。

 他方、現行法で黙認されてきた一般薬全般のネット通販が、改正法施行で規制されることで、数十億円といわれる一般薬のネット売上が、減額するなど経済的影響を受けることも、規制に反対する一つの要素に含まれている。ネット通販業者側も、全ての一般薬がネット販売の規制を受けるわけではない。第3類薬の拡大に向けた取り組みのほか、通販システムのさらなる研究の余地は残されている。

 先日、舛添要一厚生労働相は、一般薬のネット販売の問題に関しては、省令改正に向けた検討会を立ち上げる方向で、人選も含めて取り組んでいることを明かしている。厚労省も、ネット販売が認められる範囲を第3類薬までとして、一旦省令を告示した上で、別途検討を行うものと推察される。

 いずれにしても、改正薬事法施行に向け、既存の医薬品小売業者も、従来以上に、生活者から信頼される店頭での医薬品情報提供の充実に取り組む必要に迫られているのは間違いない。




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