第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
一條宏
仙台市薬剤師会常務理事
男澤貴子
2020年2月に、豪華観光船ダイヤモンド・プリンセス号の寄港で出現した新型コロナウイルス感染は、22年になっても次々と新種のウイルスが変異して現れ、人々の不安を煽っている。その対策として、ワクチン接種が感染症の発症と重症化を予防することに有効であると示唆されてきた。
このような中で、21年5月に大規模接種センターが仙台市を含めて全国で3カ所に設置されている。このセンターは、東北大学ワクチン接種センターとして開設され、新型コロナウイルス感染症対策として重要な手段であるワクチンをより多くの人に安全に接種するため、東北大学、宮城県、仙台市の連携のもとに運営されてきた。
そして、自治体を通じ病院薬剤師会、宮城県・仙台市薬剤師会、卸勤務薬剤師会にも協力要請があり、支援を行うことになった。開設期間は1年2カ月におよび、今年7月末に一旦その役割を終えている。
また、同センターでの接種回数は78万8000回となり、宮城県全体の接種回数の約14%を占め、仙台市の接種回数の22%に及んでいる。開設直後には各セクター間でどのように協力し、安全に効率的な接種体制を運営するかなど手探り状態が続いていたが、接種ブースに無駄なくワクチン供給するなどのシステム的な対応も導入することでスムーズな運営ができるようになった。
この接種センターの運営に関しては、医療従事者や自治体の貢献はもとより、薬剤師も医療人の一員として大切な責務を果たした。さらに、目に見えないところでワクチンの希釈や充填といった調整や接種ブースにタイミングよく供給するなど接種会場で奔走する薬剤師の姿もあった。
この分科会20のセッションではワクチン接種を通じて、医療関係者間での連携のあり方、ワクチン管理と供給の重要性について、接種センターでその対応に当たった3人の演者に薬剤師の役割とこれからの課題について講演を依頼している。さらに、日本薬剤師会からは、将来、薬剤師によるワクチン接種が必要になった際の対応などを含めて、全体の取りまとめをお願いした。今回のセッションが新型コロナ感染拡大の防止のため薬剤師として本来の役割の発揮につながることを切望している。
(一條宏)