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【第55回日薬学術大会】宮城県薬剤師会の取り組み 被災地で健康支援に尽力する薬剤師たち‐東日本大震災から11年が経過

2022年10月03日 (月)

災害時に医薬品供給を支援‐東日本台風被害で活躍

10日で処方箋162枚調剤‐運用進むモバイルファーマシー

 宮城県薬は、2013年秋に電気や水などライフラインが喪失した被災地でも医薬品供給が可能なモバイルファーマシーを全国で初めて開発した。

 トヨタカムロードをベース車両に、キャンピングカー製造販売会社・バンテックセールスのZIL520をさらに調剤仕様に改造した。災害対策委員会担当の加茂雅行副会長は、「現地に派遣されても薬剤師は原則として薬局外では調剤はできない。秤がない、分包機がない、冷所がない、水剤が作れないという状況ではわれわれは十分な仕事ができない環境に陥ることが分かった。現地の薬剤師に負担をかけることがなく、調剤ができる方法がないかと発想したのがモバイルファーマシーになる」と話す。

13年の秋に開発したモバイルファーマシー

13年の秋に開発したモバイルファーマシー

 薬剤師会から寄せられた義援金をモバイルファーマシーの開発費用に充て、13年10月に静岡県浜松市で開催された日薬学術大会で初公開した。

 16年4月に発生した大分・熊本地震でモバイルファーマシーが出動した。宮城県薬と同じスペックのモバイルファーマシーを大分県薬が開発しており、正式には初めての運用となった。宮城県内でも19年10月の東日本台風による豪雨で大きな被害を受けた丸森町に対する支援で運用し、10日間で災害処方箋162枚を調剤した実績がある。

 加茂氏は「卸から届けられる薬についてはモバイルファーマシーが目印になり、1カ所に届けられるのが大きい。運ばれた薬は収納され、患者さんに対して迅速に使うことができる。薬剤師もストレスなく支援ができる」と効力を強調する。

 モバイルファーマシーは宮城県薬を皮切りに全国に広がってきており、災害時の医療を支えている。平時においても自治体や小・中学校を対象とした災害時の広報・教育に加え、自治体や病院などと共にモバイルファーマシーを活用した訓練など活用が進んでいる。

ライフラインが喪失した現地でも負担なく調剤が可能

ライフラインが喪失した現地でも負担なく調剤が可能

卸から届けられた医薬品を車内に収納

卸から届けられた医薬品を車内に収納


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