第55回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
舟越亮寛
宮城県薬剤師会常任理事
瀬戸敏之
近年、複数の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が上市され、外来治療を通院継続しながら職場復帰や日常生活を送れる患者が増加している。一方で、前述した抗癌剤は副作用の発症時期が異なるなど、患者の治療中の不安を解消するための治療管理が重要である。
そのような社会的背景から、2020年度診療報酬改定により連携充実体制加算、調剤報酬改定により特定薬剤管理指導加算2が新設された。さらに20年9月施行の薬剤師法改正による継続的服薬指導、21年8月施行の薬機法改正による専門医療機関連携薬局の認定制度が始まり1年が経過したところである。合わせて副作用の発症時間も様々であるため時間外の体制も重要である背景から、22年度診療報酬改定では外来化学療法加算が見直され、外来腫瘍化学療法診療料が新設された。
急速に体制整備され、各地域において薬薬連携が充実しつつあるが、専門医療機関連携薬局についてはこれから認定取得を目指す保険薬局が多く、先行事例の共有が求められているところである。
そのため先行事例の紹介として、まずは、「薬局・薬剤師に期待すること」と題して、前国立がん研究センター理事長特任補佐の中山智紀氏から調剤報酬の動向や実績等のデータを交えて、効果的な薬薬連携の実例を紹介いただく。
次いで、専門医療機関の立場から「乳癌治療における『医-薬(病院)-薬(薬局)』連携の構築―地域で癌治療を支える取り組み」として東北大学病院の原田成美先生、「医療機関と薬局とのよりよい連携のために病院薬剤師として出来ること」として国立がん研究センターの松井礼子先生から保険薬局との連携についてテレフォンフォローからトレーシングレポートの実例と検証評価を紹介いただく。
最後に、専門医療機関連携薬局の立場から、ひかり薬局大学病院前調剤センターの松浦綾子先生から地域での癌治療を支える取り組みや情報連携にみやぎ医療福祉情報連携ネットワークを活用した取り組みについて紹介いただく。
このように体制が整備充実された中で癌化学療法に関わる各立場から、保険薬局薬剤師への期待や業務のあり方について情報を共有し、シームレスな癌化学療法患者のフォローアップ体制の構築について議論する。
(舟越亮寛)