特色ある患者資材を提供
JTBは従来から、製薬企業や医師等を対象に会議や研修、旅行、国際会議、展示会などの運営業務を行い、製薬企業と医師のアクセスを支援している。その中で、製薬企業が患者のQOL向上に向けた取り組みを強化し、患者目線に立った施策の重要性が増している点に着目し、自社の持つ旅行会社としての視点、学会とのつながり、BtoCの経験をもとに、患者向け資材の提供の取り扱いを始めた。JTBビジネスソリューション事業本部・西日本MICE事業部アライアンスマーケティングチームの新家清行氏は、「最近の情報提供活動は、薬剤情報を伝えるだけでなく、医師の感じる課題について幅広い範囲で解決策を提案できることが期待されていると感じる」と話す。その上で「当社の資材を使い、医師の課題解決に役立つ情報を届けながら、関係性強化につなげてほしい」と資材の活用方法について語る。
当初は1社で使用されていた資材は、現在では10社程度まで拡大している。MRが同資材を使ってアポイントを取ったところ、医師との面談時間が伸びたという実例も出てくるなど一定の成果も生まれてきた。
資材には患者視点のライフスタイルに対する提案が盛り込まれており、従来とは異なった観点で治療目標を設定できるものとなっている。従来の血圧や血糖値の低下など定量的な目標ではなく、“来年までに〇〇へ旅行に行けるよう頑張ろう”といった患者の価値観に合わせた目標設定が可能になり、製薬業界で広がりを見せている「患者中心」の医療に貢献できる内容となっている。また、テーマが旅行や暮らしなど、身近で地域性に富んだものであるため、医師、患者の関心度が他の資材に比べ高いという特徴がある。
新家氏は「医師とこのような資材についての意見交換を通じ、具体的な地域の地理的特徴や地域特有の医療課題を医師から積極的に相談される事例もあった」と話し、医師や地域とのエンゲージメントを強める効果があるとした。
医師だけでなく地域ともつながりを持つことができるため、課題に対してより広いレンジで解決策を考えることが可能になるという。
これまで提供してきた患者向け資材には、JTBグループの保有する「るるぶ」のノウハウを活用し、制作した運動療法を推進するためのツールや、患者目線のライフスタイル提示、QOL向上の実現を目指す資材・コンテンツなどがある。
今後、JTBは従来から行っているセミナーや会議、展示会の運営、患者資材の提供、インサイト調査などのマーケティング業務に加え、異業種との連携(アライアンスマーケティング)を疾患と親和性の高い業界や企業、地域との間に入り社会課題の解決に向け事業化をしていく。
新家氏は「製薬企業にとって、地域課題や社会課題の解決に取り組む際に、われわれが想起される存在になりたい。日本の医療をより良いものにしていきたいという想いは、私たちも持っている」と社会への新たな価値の共創を呼びかけた。
JTB 西日本MICE事業部
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