政府の「ライフ・イノベーションタスクフォース」(主査:本庶佑・総合科学技術会議議員)は13日、総合科学技術会議が来年度予算に向け、策定作業を進めている「科学・技術重要施策アクション・プラン」(AP)の柱として、▽生活習慣病、認知症の予防▽癌の治癒率向上▽要介護者数の減少――を据える方針を固めた。タクスフォースはAPを今月中にまとめる予定。これをもとに、省庁横断的な予算案の策定に反映させる。
政府が昨年12月に閣議決定した新成長戦略の基本方針では、健康長寿社会を実現するための技術「ライフ・イノベーション」を重要課題の一つに位置づけ、医療、介護、健康関連のサービスの需要に見合った産業育成、雇用の創出を目指す方向性が示されている。
これを受け、同会議はライフ・イノベーションの推進に向け、省庁の壁を超え、国が優先的に取り組むべき課題を盛り込んだAPの策定を進めており、タスクフォースでは、主要推進項目や個別施策を検討している。概算要求前に関連施策を明確化することにより、厚生労働、文部科学、経済産業など各省庁の予算配分方針に反映させたい考えだ。
会議の出席者からは、疾患別の死亡者数が最も多く、医療費も高額な癌の研究をさらに促進させ、治癒率向上につなげることを求める意見が出た。
また、治癒率の向上に欠かせない早期診断・早期治療を進めるに当たっては、革新的な診断機器の開発と、有効な医薬品の開発を分けて考えず、「統合的に進めるべき」といった意見も出た。
生活習慣病や認知症の予防に向けては、大規模なゲノムコホート研究の推進と診療情報の集約化を統一的に進めていく必要性が指摘された。
一方、少子高齢化の進展により、2人で1人の高齢者を支えるようになることから、自殺対策に向けた就労者のメンタルヘルスへの対応など、「これからの支え手をターゲットにした戦略を盛り込むべき」といった問題提起もされた。