米食品医薬品局(FDA)は3月26日、肺動脈性肺高血圧症(PAH)の成人患者に対する注射薬としてWinrevair(一般名sotatercept-csrk、以下ソタテルセプト)を承認した。本剤は、以前に画期的治療薬(breakthrough therapy)として指定されており、今回PAHに対するアクチビンシグナル伝達阻害剤として初めて承認された新たなクラスの治療薬である。
ソタテルセプトは、PAHの成人患者の運動耐容能や機能を改善し、臨床的悪化イベントのリスクを低減するために用いられる。増殖を促進するシグナル伝達経路と増殖を抑制するシグナル伝達経路のバランスを改善することにより、PAHの原因となる血管細胞増殖を調節する。
今回の承認は、第3相STELLAR試験のデータに基づき行われた。同試験は、PAH成人患者に対し、標準的な基礎療法に加えてWinrevair(患者163人)またはプラセボ(患者160人)を投与し比較したもの。その結果、Winrevairの追加により、主要評価項目であるベースライン時から24週時までの6分間歩行距離の変化においてプラセボでの調整後に41mの延長が認められた(95%信頼区間28~54)。また、副次評価項目である全死因死亡またはPAHの臨床的悪化イベントのリスクにも、84%の減少が認められた(イベント数9件対42件、ハザード比0.16、95%信頼区間0.08~0.35)。
STELLAR試験の治験責任医師である米ブリガム・アンド・ウイメンズ病院のAaron Waxman氏は、「PAH患者は、運動耐容能の向上や機能分類の改善など、重要な臨床目標の達成を支援する新たな治療選択肢を引き続き必要としている。ソタテルセプトの基礎療法への追加は、PAH患者にとって新たな標準治療の選択肢になる可能性がある」としている。
Winrevairの承認はMerck社に与えられた。(HealthDay News 2024年3月28日)
Press Release – Merck
https://www.merck.com/news/fda-approves-mercks-winrevair-sotatercept-csrk-a-first-in-class-treatment-for-adults-with-pulmonary-arterial-hypertension-pah-who-group-1/