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米食品医薬品局(FDA)は3月14日、中等度から高度の肝線維化を伴う非肝硬変性非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療薬として、Rezdiffra(レズディフラ、一般名resmetirom)を承認すると発表した。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)の免疫学・炎症局長代理であるNikolay Nikolov氏は、ニュースリリースの中で「これまで、すでに顕著な肝臓の瘢痕を生じているNASH患者にとって、その損傷に直接対処できる薬は存在しなかった。本日のレズディフラの承認により、こうした患者には初めて、食事療法と運動療法に加えた治療の選択肢が提供されることになる」と述べている。
レズディフラは、甲状腺ホルモン受容体(THR)-β部分作動薬であり、肝臓においてTHR-βを活性化することにより肝脂肪の蓄積を減少するとされている。NASHと肝線維化の改善におけるアンメット・メディカル・ニーズに対応するため、迅速承認の経路で承認された。同剤の安全性と有効性を評価するための54カ月間にわたる臨床試験は現在も進行中であるが、その一環として収集された12カ月時点の中間データが、今回の迅速承認に用いられた。
この臨床試験では、NASHによる炎症および中等度~高度の肝線維化が肝生検で確認された患者を対象に、レズディフラ投与群と対照群との間で、肝炎と肝線維化の程度の改善を比較している。12カ月時点のデータによると、レズディフラ100mg投与群の24~36%では、NASHが消失して肝線維化の悪化も見られなかったのに対し、プラセボ群ではこの割合は9~13%であった。さらに、100mg投与群の24~28%では、NASHは持続したものの肝線維化の悪化が見られないことも確認された。
レズディフラの副作用として下痢や吐き気があり、添付文書には、薬剤誘発性肝毒性や胆嚢障害のリスクに関する警告が記載されている。FDAによると、レズディフラは非代償性肝硬変の患者には使用するべきでなく、スタチン系薬剤と相互作用する可能性があるという。
レズディフラの承認はMadrigal Pharmaceuticals社に与えられた。(HealthDay News 2024年3月15日)