首都圏や関西エリアを中心に「薬ヒグチ」を展開するヒグチ産業(本社:東大阪市)は先月23日、コンビニチェーンのファミリーマートと組んで、新たな店舗フォーマットの実験店「ファミリーマート+薬ヒグチ淡路町店」を都内にオープンした。今回はFC契約締結という形で、正式には業務提携ではないが、今後は両社のインフラやノウハウを相互活用し、新業態作りを進めていくという。
この実験店では、従来のコンビニエンスストアの利便性・商品力(食品、サービス等)機能に、ドラッグストアの専門性(カウンセリング力)・商品力(健康・介護)機能を融合させた、新しい形の店舗フォーマットの構築が目的。将来的には、様々な地域の日常生活を支援する、社会・生活インフラ企業としての小売業態「ライフソリューションストア」を実現していきたいとする。
近年は、店舗数自体は少ないものの、主要コンビニ企業でも医薬品販売を行うケースも見られている。しかし最近増えているのは、コンビニチェーンとドラッグストアとが提携し、新業態店の開発を目指すケースだ。
主な協業の取り組みを挙げると、マツモトキヨシホールディングスでは2009年8月にローソンと業務提携を締結し、両社での人材交流・商品交流を経て、10年7月にドラッグストア「マツモトキヨシ」と、生鮮コンビニ「ローソンストア100」の共同店舗を開始した。
ココカラファインはサークルKサンクスと、コンビニとドラッグ・調剤薬局のコラボレーション店舗を10年5月に都内に出店した。昨年12月には、2店舗目となる両社のコラボ店を同じく都内に出店している。
CFSコーポレーション、タキヤ、ミニストップの3社(いずれもイオングループ)は10年8月、新業態店開発とFC事業を展開するため、共同出資会社「れこっず」を設立し、同年7月にドラッグとコンビニ融合の1号店を出店した。今春時点で関東と近畿に18店舗を数える。このほかドラッグ業界以外でも、調剤薬局チェーンのクオールがコンビニとの新業態店開発に力を入れている。
さて、今回のファミマとヒグチの実験店舗だが、売場面積が約73坪と、オフィス街のコンビニとしては大きめ。登録販売者が交替で24時間常駐し、約500種類の医薬品を販売する。さらには健康食品、オーラルケア・ヘアケア、日用雑貨などの品揃えを拡大していく考えだが、一見するとコンビニ的な売場と、ドラッグストア的な売場とが“同居・混在”した感じがしなくもない。
最近では、単にドラッグストアがコンビニ風な売場構成にしただけ(あるいはその逆)のような店舗もなくはない。今回の両社の実験が、セルフメディケーション時代に対応した業態店となり得るか注目と期待をしたい。