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【彩の国にいる37人の薬剤師】製薬企業研究者から薬剤師に 羽生市薬剤師会・安野浩崇さん

2024年04月30日 (火)

患者の顔を覚え対応力磨く

安野浩崇さん

<私ってこんな薬剤師>
調剤の正確性、スピードには自信あり
<かかりつけ薬剤師像>
健康についての疑問があったときに医師よりも薬剤師の顔が浮かぶ
<趣味>
筋トレ

 「製薬企業の製剤研究者から薬局薬剤師に転身しました。変わった経歴です」――。羽生市薬剤師会が推薦した一押し薬剤師は、飛鳥薬局取締役の安野浩崇さんだ。

 飛鳥薬局は埼玉県羽生市に本社があり、北埼玉エリアを中心に20店舗以上を有する。安野さんは、中途入社でありながらも現場の薬剤師、管理薬剤師を経て、現在は取締役として経営に関わる。

 3年前から「筋トレにはまっているんです」と肉体改造中だ。仕事を終えると、週5日、約1時間はスポーツジムで身体を鍛える。ダイエット目的で始めた趣味が高じて、ボディメイクの大会にも出場を果たした。従業員からは「腹筋を見せて下さい」と声をかけられる。“脱いでもスゴい薬剤師”だ。

 患者に対する健康サポートにも筋トレ効果が思わぬ形で表れており、「患者さんに気持ちを込めて運動・食事療法を助言できるようになった」と顔をほころばせる。

 鴻巣市に生まれ、大学薬学部入学後は、研究職を志し大学院に進んだ。製薬企業の製剤研究者としては芽が出ず、入社してわずか3年半で薬剤師への転身を早々に決めたが、「自分が思い描いた研究職やモノづくりよりも、今の仕事のほうが合っていたのかもしれない」と後悔はない。

 薬局薬剤師として「1カ月に1000枚の処方箋が来ても、患者全員の顔と特徴を覚える」ことを強く意識した。「人は1000人までは顔を覚えられる」。製薬企業在籍時の社長の金言を行動に移した。その結果、調剤の正確性とスピード、患者対応力に自信が付いた。

安野浩崇さん

 一方、外来から高齢者施設に移行した患者を担当した時には、血液検査の結果から減薬を医師に提案し、数値の改善に導いた。安野さんは「医師も専門外の領域は薬剤師を頼りにしてくれる。施設在宅業務は薬剤師の職能を発揮できる」と話す。

 羽生市薬剤師会の役員ではないものの、飛鳥薬局の一員として会の活動に協力している。新型コロナウイルスワクチンの集団接種では「羽生市、医師会、歯科医師会、薬剤師会のチームの強さ、連携の強さを感じた」と語る。

 羽生市の医療提供体制を見ると、在宅対応で課題がある。市内には無菌調剤に対応した薬局がなく、小児在宅や看取りなどは「今後、地域として携わらなければならない医療課題」と受け止める。

 既に経営陣の1人だが、今後のキャリアについて「生涯、現場でいたい」と話す安野さん。患者や他職種からの薬剤師に対する期待を十分認識しているからこそ、「薬剤師に裁量を与えていただかないと、職能を発揮できる機会が少なくなるのではないか」と危機感は強い。

 DXなど技術革新への対応についても「医療業界は保守的で他業界から5~10年遅れている。薬局から最先端なものに変えて医療業界を引っ張っていきたい」と変革を誓う。

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