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【彩の国にいる37人の薬剤師】コロナ禍に“むすぶ薬局”を開局 春日部市薬剤師会・森田元さん

2024年09月12日 (木)

患者から相談される薬剤師に

森田元さん

<私ってこんな薬剤師>
フランクで話しやすい薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
困ったことがあれば相談先として、真っ先に頭に浮かぶ存在
<趣味>
サッカー、マラソン

 「薬剤師っぽくない薬剤師と患者さんからよく言われます。フランクな感じなので話しやすいのかもしれません」――。春日部駅に近いむすぶ薬局代表取締役の森田元さんは、春日部市薬剤師会の理事も務める。

 「薬剤師は真面目で人見知りの方が多い印象があります。私は基本的に人と話すのが好きな性格で、知り合いを増やしたい性分ですね」。公認スポーツファーマシスト、認定実務実習指導薬剤師、県薬剤師会の災害対策委員会のメンバーを担うなど多彩な顔を持つ。小児薬物療法認定薬剤師も取得していたマルチな薬剤師だ。

 もともと、薬剤師になりたかったわけではない。草加市出身で小学校の頃の夢は草加市長になること。「市長になって日本で一番汚いと言われている綾瀬川をきれいにする」。大学は環境学部を目指した。

 ただ、環境学部があるのは国公立大学のみと狭き門で現役は受験に失敗し、浪人生活を強いられた。翌年の再チャレンジとなる受験の約1カ月前に、幼なじみが大学薬学部に合格したとの知らせを聞いた。

 「親からは『薬学部に行け。環境衛生学も学べるだろう』と薦められ、自分も薬学部を受験したら合格しました。志望していた国公立大学の環境学部も合格したのですが、既に入学金を払い込んでいたので」。急転直下で薬学部に入学することとなった。

 大学卒業後は、実習先だった東京都足立区の薬局で5年間働いた。製薬企業の開発職に興味が湧き、大分大学医学部付属病院で抗癌剤の治験業務を経験したが、中途採用の希望は叶わなかった。

 以前、働いていた調剤薬局の上司の紹介で薬局に再就職した。周囲の支えもあり、2020年7月に「むすぶ薬局」を開局した。

 むすぶ薬局の由来は「私は人が好きで、会社名は人と人を結ぶということで株式会社『結』とした。長男は『結人』(ゆいと)、長女は『結』(ゆい)と子供の名前にも使っている」という。

 開局した時期は、新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言が実施されていた頃だ。最初は患者が一桁という厳しい状況に直面した。近隣のクリニックが1日に発行する処方箋が約90枚のうち、およそ3分の1は応需できる計算に大きな狂いが生じたが、幸いにも高齢者施設の服薬管理を担うことができ、苦境を乗り切った。独立した今は「自分の裁量で働けているのが楽しい」と話す。

 ジェネラリスト薬剤師を目指す。病院に行く前に「どうしたらいい?」と森田さんに電話をくれる患者が複数人いる。「『あなたに私の健康管理、薬物治療を任せるよ』と言ってくれるのがありがたい。私が考えるかかりつけ薬剤師、薬局は、困ったことがあれば相談先として、真っ先に頭に浮かぶ存在、北海道の薬剤師である長塚健太先生が提唱する“かかる前薬局”ですね」

 一方、春日部市薬剤師会は災害対策に積極的に取り組んでおり、4師会合同で毎年災害訓練を実施。東京都の江戸川区薬剤師会と県を跨いだ連携もあり、執行部も積極的に若返りも図っている。

 5年後の自分については、「薬局は複数店舗を構え、春日部薬剤師会の要職に就き、大学教員として学生を教える立場になり、埼玉県薬剤師会の理事を担っている」との姿をイメージする。幼少期に思い描いていた草加市長になるとの目標についても、「将来の構想としてあります。まずは市議会議員を目指したい」と公言する。

 休日が年末年始しかないなど忙しい毎日を過ごす。「サッカー、ランニング、バレーボールは趣味として時間を費やせるようにしたいですね」。オフタイムも充実させたい考えだ。

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