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【彩の国にいる37人の薬剤師】他職種と連携し患者支える 上福岡・大井薬剤師会・斉藤亮太さん

2024年04月03日 (水)

地域課題は在宅患者への対応

斉藤亮太さん

<私ってこんな薬剤師>
地域の人にかわいがられる薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
薬局外で地域住民から名前で呼びかけられる
<趣味>
洗車

 「自分で言うのは恥ずかしいですが、高齢の方からかわいがられている薬剤師だと思っています」――。上福岡・大井薬剤師会の若きホープとして活躍する斉藤亮太さん。東京・池袋から東武東上線で30分程度の距離に位置する埼玉県ふじみ野市上福岡で生まれ育ち、地元のあおぞら薬局で管理薬剤師を務める。

 患者には小学生時代の恩師や友人、友人の父母など幼い頃からの顔なじみばかり。「昔から知ってもらえているので、お兄ちゃん、お兄ちゃんと言ってくれる」とはにかむ。

 小さい頃はシステムエンジニアを目指していた。高校3年生の頃に祖父が白血病を発症し、「家族として何もしてあげられなかった」と無力感を味わった。その経験から病気で苦しむ患者の助けになりたいと誓い、薬剤師を目指すことを決心。大学薬学部卒業後に、地元のカイエー薬局グループに就職した。

 ふじみ野市上福岡地域には、長年住み続けている世帯が多く、あおぞら薬局の近隣にも高齢者世帯が暮らす。薬剤師歴10年の斉藤さんは入社直後から在宅医療に携わり、看取り期の在宅も多く経験してきた。

 忘れられない患者がいる。夫婦2人暮らしで、夫が末期癌。患者の家族からは「最後は家で過ごせるようにしてもらいたい」との要望が伝えられていた。

 斉藤さんは麻薬の使用を管理しながら、患者宅を訪問しない日は看護師との連携を通じて、患者の状態やその日のやり取りを共有した。医師に伝えるべき情報はすぐにフィードバックした。

 息を引き取る最期の時まで懸命にサポートし、患者の娘からは「ありがとうございます、引き続き母もよろしくお願いします」と感謝の言葉がもらえたという。

 それでも最高のサポートができたかは分からない。「家族の言葉は嬉しかったが、本人に対して自分がきちんとサポートしてあげられたのか今でもずっと引っかかっている」と話す。看取り期で薬剤師ができるサポートとは何かを今も自問自答しながら成長している。

 斉藤さんは、他職種との連携を心がけている。「薬剤師の訪問回数は限られている。訪問看護師の仕事をカバーし、本来の仕事に集中してもらえるよう協力関係を築くことが大切」と強調する。

 現在は上福岡・大井薬剤師会副会長の重責も担う。約10万人が住むふじみ野市で地域の医療課題は「在宅医療への対応」と考えている。「認知症患者が増えており、薬の管理が難しくなっている。行政と連携した認知症予防の取り組みが重要」と訴える。

 ふじみ野市は東武東上線を挟んだ東西地域で生活圏が異なる地域性を持つ。そこでの薬局・薬剤師の姿について「それぞれの生活圏で暮らす患者さんをどの薬局に任せるべきか薬剤師会が考えることが必要。各地区の先生方が地域の顔になれるような活動が理想だと思う」。一つの薬局だけで地域医療を考えるのではなく、薬剤師会が関与する重要性を語る。

 2児の父で車が好き。趣味は洗車だ。その理由は「頭を空っぽにできる。良い気分転換になる」。これからも生まれ育った町で地域住民を支えていきたい考えだ。

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