TOP > 企画 ∨ 

【彩の国にいる37人の薬剤師】フットワークは軽い薬剤師 行田市薬剤師会・北爪裕希子さん

2024年09月03日 (火)

コミュニケーションは大切に

北爪裕希子さん

<私ってこんな薬剤師>
何でもやってしまいたいと考える薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
患者さんが全部の処方箋を自分に持ってきてくれる関係
<趣味>
ハッピーエンドだと分かる韓国ドラマを見ること

 「何でもやってしまおうというタイプですね。フットワークは軽い方だと思います」――。そう語るのは、行田市薬剤師会で理事を務める北爪裕希子さん。行田市内にあるふじみ薬局に勤務している。

 高校生まではピアノと学業との両立に忙しい毎日を過ごしてきた。高校2年生時に「ピアノは趣味でいい」と諦め、もともと有機化学が好きで、幼い頃から薬剤師になりたかったという母の思いを受け継ぐ形で薬学部を志望し、見事に九州大学薬学部へと進学した。

 「アカデミックで研究をしたかった」と研究者志望で大学院にも進んだ。ただ、研究を続けていくうちに「少し自分がやりたいこととは違うかな」と思い始め、そんな時に経験した薬局でのアルバイトが新鮮で面白かったという。「薬剤師として働きたい」と気持ちが変わった。

 結婚を機に夫の出身地である埼玉県へと移り、行田市内の病院で薬剤師を3年経験を積み、ふじみ薬局で10年間勤務している。

 思い描いた目標からは違う道を歩むことになったが、今を楽しんでいる。「私は入った環境で楽しむタイプで、その場に応じて自分の長所を伸ばしていければいいと考えています。幸いなことに恵まれた環境で働くことができていますね」

 患者に広く対応できるジェネラリスト薬剤師こそがAI時代にも生き残ると信じる。患者に対しては自分からコミュニケーションを取り、情報収集することを欠かさない。

 病院薬剤師として働いていた頃は、看護師から話を聞けば患者一人ひとりの背景を理解できたが、薬局薬剤師は患者から話を聞く必要がある。もちろん、踏み込んで失敗したこともある。炭水化物を多く摂取する糖尿病患者に「もっと蛋白質を取るなど食事のバランスを考えてみるのはどうですか」と提案し、「低血糖になったらどうするんだ」と怒られた経験もしてきた。

 ただ、そんな失敗も糧に、例えば気難しい中年の男性患者に対しては時間をかけて関係性を築くなどのアプローチで、患者から相談を持ちかけてくれる間柄となった。

 「処方箋が割と少ない薬局ですので、患者さんの顔を見ると、その人が飲んでいる薬が自然と浮かんできますね。薬剤師あるあるです」とにこやかに語る。

 行田市薬剤師会では、地域住民や行政、他の医療・介護職種に会の活動や会員薬局の取り組みを知ってもらえるようホームページ作成を進めている。理事である北爪さんは中心的な役割を担う。

 「行田市薬剤師会は規模が他の薬剤師会に比べて小さいですが、柔軟性を持って対応しています。三師会との関係も強く、糖尿病の検体測定室や禁煙にも会を挙げて取り組んでいます」

 人口減、高齢化に直面し、医療資源も十分とは言えない行田市で薬剤師会が地域貢献を果たしていく。「薬剤師会の存在意義は、今回の診療報酬改定で地域連携の必要性を国が示したので、あとは薬剤師会の頑張り次第」と市民に見える活動を進めていく。

 そんな北爪さんの趣味は、今はピアノではなく、「ハッピーエンドだと絶対に分かる韓国ドラマを見ること」。「仕事では頭を使うので、結末が分かっているドラマを何度でも見て気づきを得ています」

目次

関連リンク



‐AD‐

この記事と同じカテゴリーの新着記事

HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術