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【彩の国にいる37人の薬剤師】地域住民ファーストの薬剤師 朝霞地区薬剤師会・大八木実さん

2024年05月15日 (水)

体験話し行動変容促す

大八木実さん

<私ってこんな薬剤師>
アツい薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
薬局で「あ、この患者さんまた来た!」と感じられる関係
<趣味>
他職種や地域の人たちと会って話すこと

 「多職種の方からは、『大八木さんはアツい薬剤師ですね』とよく言われます」と話すのは、朝霞地区薬剤師会の大八木実会長だ。多職種が集まる地域包括ケア会議では薬について熱弁を振るい、市が開催する市民講座で数多く講演している。「市民のために何ができるか」を追求している薬剤師だ。

 東京の下町、浅草で生まれ、北区堀船で育った。若い頃は医師を目指していたが、夢が叶わずに薬剤師へと方向転換。城西大学薬学部卒業後は病院薬剤師となり、その後東京都内の調剤薬局に勤務し、朝霞地区薬剤師会の会営薬局だったあおぞら薬局を2020年12月に買い取った。

 大八木さんは、患者の行動変容には薬剤師としての体験を話すことが重要と訴える。あおぞら薬局は、高度医療を提供する国立埼玉病院の前に位置しており、カテーテルアブレーション治療にかかる患者も多く、薬剤師にも不安を吐露する。

 大八木さんは、薬局に来た患者の様子から受診勧奨して重度の心不全の発見に導いた経験のほか、自身が心不全を発症し心臓が止まってもおかしくない状況下でカテーテルアブレーション治療を受けたこともある。

 「これまで担当してきた患者さんの体験や自分が病気になった体験を話すと、皆が安心して治療してくれる。抗凝固薬を飲まなかった患者さんに対しては、薬をしっかりと飲む重要性を伝えている」と話すように、患者に対して効果的な説明を心がけている。

 朝霞地区薬剤師会は、朝霞市、新座市、志木市、和光市4市の薬剤師で構成され、今年で30周年を迎える。ポリファーマシー、地域フォーミュラリ、プロトコルに基づく薬物治療管理(PBPM)など医師会や歯科医師会と連携した独自事業を展開している。

 重要視するのは薬剤師業務を市民にアピールしていく取り組みだ。薬剤師会内には市民フォーラム部会を組織しており、様々な企画を検討している。その一つが「キッズファーマシー」である。

 東武東上線沿いの朝霞市や和光市は人口が増加しており、若い世帯が多く住む。子ども薬剤師体験の企画は大人気で、参加希望者に整理券を配布するほど大盛況だとか。参加した子供の名前を入れた薬剤師証明書を発行し、高齢者の参加に偏りがちな市民フォーラムから脱却を図っている。

 大八木さんは「お父さん、お母さんも子供の写真を多く撮る。地域の人が薬局をアットホームな雰囲気だと思ってもらい、薬局に来やすい雰囲気を作る。キッズファーマシーの取り組みは、この地域では特に重要」と話す。

 趣味は「患者さんと話したり、医師と話したりすると気持ちがリセットされる」こと。理想のかかりつけ薬剤師像も「患者さんが薬局のドアを開けて、私が『この患者さん、また来た!』という関係性が続くこと」と言い切る。

 そして、5年後に自身が目指す姿も「その患者さんが5年後も同じように薬局に来てくれることが大事ですね」とブレはない。今後も地域住民ファーストの薬剤師であり続ける。

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