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【彩の国にいる37人の薬剤師】薬局をふれあいからつながりの場に 飯能地区薬剤師会・池田里江子さん

2024年05月17日 (金)
池田里江子さん

<私ってこんな薬剤師>
地域大好き、おせっかい大好きな薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
困ったことがあれば相談に乗れる人
<趣味>
バレー

 「地域が大好きで、地域の人たちにおせっかいをしたり、お話をすることも大好き」。そう話すのは、埼玉県飯能市で「ふれあい薬局」を経営する薬剤師の池田里江子さん。生まれも育ちも飯能市で市内に2薬局、さいたま市内に1薬局を構える。

 薬局経営者の顔だけではなく、飯能地区薬剤師会で副会長、埼玉県薬剤師会では常務理事を務める。仕事を離れると、地元のママさんバレーのプレーイングマネージャーとしてチームを牽引する。パワフルな薬剤師だ。

 「若い頃は、全国大会を目指してバレーをしていた。月10回程度試合をしていた頃もある。自分が先頭に立って試合を組み立てたり、練習メニューも考える。でも、張り切りすぎて靱帯を切ったこともあります」

 バレーの魅力は、「1人では勝てない。チームワークが求められる」と話す。仲間と協力して勝利を手にすることが喜びとなっている。

 明治薬科大学に入学し、大学院まで進んだ。卒業後は大鵬薬品の開発職に就き、結婚を機に退職。転居先の福岡県では薬局薬剤師を2年間経験した。その後飯能市に戻り、2001年にふれあい薬局を立ち上げた。

 開局して23年が経った。患者や薬局スタッフにもおせっかいを焼き、言いたいことを言う。患者とのエピソードで嬉しかった経験は、「子供の頃から面倒を見ていた患者さんが、自分の子供を連れてきてくれること」だという。

 「何を聞いても『ハイ』の三つしか話さなかった子が、子供を連れてきて車の整備士になって自分のことを話してくれるようになった。それがすごく嬉しい」。飯能で生まれ、育つ人たちを家族のように温かい目で見守ってきた。

 介護を身近に感じていた。もともと家業は介護事業で、在宅医療を積極的に行うのも、「患者さんはある時から薬局に来なくなる。家で看取りとなれば最後まで看取ることができる」からだ。

 薬剤師が介護領域に少しでも関われるよう12年から、飯能市と日高市で多職種が地域に根ざした看取り医療を話し合う場「多職種連携座談会ワールドカフェ」を立ち上げた。薬剤師会の活動にもつながり、1年間で延べ663人を集め、市からも予算が付いた。

 池田さんは「地域の多職種に顔が見える薬剤師会になったのはワールドカフェの成果もあると思う。名前を覚えてもらえる関係を作ることができている」と話す。最近では、自分が望む医療やケアについて話し合う「人生会議(ACP)」を広める活動にも力を入れており、無料動画サイトのユーチューブを利用して在宅で看取った家族のインタビューなどを発信している。

 薬剤師会にとって地域への貢献は重要な使命だ。池田さんも「地域包括ケアシステムでは、ややもすると薬局や薬剤師は置き去りにされる職種だが、絶対に外されない職種にしたい」と語る。

 薬局名にあるように、“人と人がふれあえる”薬局の姿を追いかける。月に1度は地域の高齢者を集めた「ふれあいカフェ」を開催する。5年後の目標も、「家でひきこもってデイサービスも行かないという人を薬局に集めたい。ふれあいの中でつながりを持てるカフェにしたい」と力を込める。

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