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【彩の国にいる37人の薬剤師】患者のために医師相手に臆せず意見 さいたま市薬剤師会・野田政充さん

2024年03月13日 (水)

地域薬会長として地域課題を探索

野田政充さん

<私ってこんな薬剤師>
薬剤師のことが好きな薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
薬剤師は医療のインターフェース
<趣味>
釣り

 9月に埼玉県で初めて日本薬剤師会学術大会が開催される。約1万人の参加が見込まれ、盛り上がりが期待される中、本紙は県内の37地区薬剤師会から推薦された地域で活躍する薬剤師を紹介していくことにした。

 トップバッターのさいたま市薬剤師会から登場したのは野田政充会長だ。「薬剤師のことが好きな薬剤師」を自負する。

 大学時代は化学が好きで製薬企業の開発職を目指した。薬の化合物としての興味はいつしか、同じ薬を投与しても患者への治療効果に個人差が生じる薬物療法の面白さに変わり、薬剤師の仕事を選んだ。

 薬局薬剤師であることに強いプライドを持っている。患者をめぐり医師相手にけんかもした。循環器科・泌尿器科・皮膚科と複数診療科から計12剤が処方されていた中に腎機能リスクが高い薬剤が含まれていた。

 「この薬でいい」。添付文書に基づき減量させていると主張する医師に、野田さんは「いや、薬剤を変えるべきです」と譲らなかった。医師と薬剤師の意見が対立する中、患者の希望は「野田さんの意見に準じて薬を飲みたい」。薬剤師である野田さんを選んだ。

 その結果、服用中の薬剤の一部を薬剤師である野田さんが提案した腎機能リスクが低い薬剤に変更することになった。

 野田さんの読みが的中し、患者の腎機能は低下した。腎機能リスクの高い薬剤を変更せずに継続していればより悪化していたかもしれなかった。医師からは「腎機能リスクが低い薬剤に変えて正解だった。ありがとう」と感謝された。

 「一番大事なのは患者に興味を持つこと」と野田さん。患者の服装や口数、声の大きさ、話すスピードなど普段の様子と何が違うのか観察する癖をつけてきた。患者の表情や仕草から異変に気づき、子宮体癌の早期発見につなげたこともある。

 かかりつけ薬剤師という言葉には「薬が出てからというイメージが強く、そこにプライドを感じない。薬剤師は血液は採らない、手術はできないが、話は聞くことができる医療従事者だと思う。病気になる前の医療のインタフェースとしてのプライドが強い」との意見だ。

 現在は市薬剤師会会長の立場で、約132万人の地域住民と向き合う。地区薬剤師会に求められる能力は「地域課題の発見力」と話す。県内で唯一、人口が増加し、今後急速な高齢化に直面するさいたま市。在宅や災害対応、健康増進など様々な課題がある。「薬剤師の畑だけを耕すために薬剤師の能力を使うのではなく、地域の畑を耕すために使わないといけない」と力を込める。

 楽天的な性格で海が好き。昔は週末になると千葉沖へとサーフィンに行き、波に乗っていた青年だった。今ではサーフィンの板を釣り竿に持ち替え、戦略を立ててじっと魚を待つ。魚を釣り上げる達成感よりも「釣れないのが楽しい」と言う。「なぜ、釣れないのかの問題を見つける楽しさ、次はリベンジする楽しさがあるじゃないですか」

 もちろん、地区薬剤師会会長として地域の課題を見つけることも「楽しいに決まってます」と頼もしく語ってくれた。

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