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【彩の国にいる37人の薬剤師】“珈琲焙煎士”の一面持つ薬剤師 三郷市薬剤師会・小林真人さん

2024年08月29日 (木)

「ぼうず珈琲」でコーヒー豆販売も

小林真人さん

<私ってこんな薬剤師>
患者とのコミュニケーションを重要視している薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
患者さんの隣にいて、薬を中心にサポートできる存在
<趣味>
珈琲、マラソン

 「珈琲焙煎士です。とはいっても、自分で名乗っているだけなんですが」――。そう話すのは、三郷市内にあるみさき薬局の薬剤師で、三郷市薬剤師会副会長を担う小林真人さんだ。

 新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけにコーヒーにはまり、「自分でも焼いてみたい」との衝動にかられ、コーヒー生豆を焙煎するための焙煎機を購入。コーヒー豆を買って豆を挽いて飲むうちに、美味しいコーヒーを「他の人にも飲ませたい」と思うようになった。会社から副業の許可を得てSNSで「ぼうず珈琲」というショップを立ち上げ、自家焙煎したコーヒー豆を販売している。

 薬局や施設、さらに薬剤師会業務で三郷市の職員ともつながりができ、各所から「コーヒー豆を買いたい」と注文を受けるようになった。

 「余暇の時間を使ってこれからもやっていきたいですね。自分の中で柱を作りたいと思っていて、一つは薬剤師という柱。珈琲焙煎士という柱も作ることで自分の価値を高めたい」。そう言い終えた後に「それは建前で、好きだからやっているだけなんですけどね」と笑う。

 東京都昭島市で育った。薬剤師を目指したのはアトピーで苦しむ母を隣で見てきたのが大きい。東北薬科大学薬学部(現東北医科薬科大学)に入学し、卒業後は調剤併設型のドラッグストアに就職した。「もっと薬のことを学びたい」との思いから調剤薬局チェーンの総合メディカルに転職した。

 10年間在籍した総合メディカルでは、薬剤師が患者と接する上で欠かせないコミュニケーションの基礎を学んだ。「薬剤師がいかに患者さんを見て、患者さんのゴールを共通の目標としているのか、患者さんが考えるゴールに向かって、薬剤師が行動変容を促すためにどのような接し方をすればいいか体系的に学べる教育システムがあった」という。

 その後、子供を育てるのに最適な環境を求め、地域密着型のみさき薬局に転職した。「『あなたのことだけを考えます』という会社のモットーと、自分が考えるコミュニケーションに対する考え方がとてもマッチしていた」のも決め手だった。

 「患者さんの隣にいて、薬を中心にサポートできる存在でありたい」。それが小林さんが追求する薬剤師像だが、「患者に寄り添いたい」という思いは、「薬剤師として患者に行うべき指導」と時にぶつかる。

 小林さんは、「慢性疾患の患者さんに、『お酒やタバコは駄目ですよ』と指導しても、その方の立場として、健康には良くなくても大切なものを止めてしまうのはどうなのかと葛藤がある。どのような折衷案を提案すればいいか悩むところ」と打ち明ける。

 そんな疑問に対する回答は、「薬剤師が言ったことを守ってもらうのではなく、患者さんが嗜好や趣味を楽しむ上で『こんな方法があるよ』といくつかパターンを提示し、患者さんに選んでもらう」。患者に行動変容を促す場合には、「上からではなく、患者さんのゴールに寄り添った対応が大事ですね」との心構えも語る。

 今後の人生で「珈琲焙煎士」と「薬剤師」の柱をどう打ち立てていくのかを聞いた。「他店舗で喫茶をやりたいという薬剤師がいて、ケーキが好きだというので喫茶付きの薬局もできるかもしれませんね」

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