TOP > 企画 ∨ 

【彩の国にいる37人の薬剤師】航空関係の高校から薬剤師に 草加市薬剤師会・元吉慧護さん

2024年09月18日 (水)

心療内科の患者をサポート

元吉慧護さん

<私ってこんな薬剤師>
患者を元気にさせる薬剤師
<かかりつけ薬剤師像>
患者に寄り添う薬剤師
<趣味>
子どもと遊ぶこと

 「心療内科の患者さんに寄り添い、患者さんが元気になれる。そんな薬剤師を目指しています」。そう語るのは、草加駅から少し離れた住宅地にあるフェアリー薬局の薬剤師、元吉慧護さんだ。

 薬局の上の階に心療内科のクリニックがある。草加市内で心療内科の患者を中心にサポートする薬局は限られる。「患者に寄り添う」といっても、一般の診療科と心療内科ではサポートの意味合いが異なる。

 心療内科に通院する患者は、個々によって症状や影響度が異なり、言葉に対する受け止めもポジティブにもネガティブにも変わる。患者への理解がより一層必要だ。

 「病院や薬局に行けないほど重症の患者さんもいる。言葉一つで病態に影響が出てしまう。患者さんに応じて、どんな声かけがいいのかを考えながら寄り添った対応を心がけています」

 草加市で生まれ育った元吉さんは、幼少の頃から飛行機が好きだった。航空関係の仕事に就きたいと考え、石川県輪島市内にある日本航空高校石川に進学した。

 父は薬剤師だが、薬剤師になることは、「全く頭になかった」という。しかし、親元を離れて改めて父の背中を見た時に、「薬剤師になろう」と決断した。千葉科学大学薬学部に進学し、フェアリー薬局の薬剤師として働く。

 患者とのエピソードは枚挙に暇がない。深夜に「ゴキブリが出た、すぐに来てほしい」。患者から助けを求める電話には、ゴキブリ駆除の殺虫剤を手に患者宅を訪問。「フルーツが食べたい」と懇願した患者には桃を持参し、じっくりと話を聞く。もちろん、患者の希望に応えてばかりではなく、自分本位の要望には「それは違います」と指導する。患者に寄り添い、時には対峙し、見守り続ける。

 「先生、もう薬局に来なくてよくなった」。苦労は絶えないが、患者からの“寛解報告”は薬剤師としての達成感を味わえる瞬間だ。

 寛解状態となり、薬を服用せず、通院が不要な状態まで回復する患者を何度も見てきた。最初は暗い表情で来局した患者が気持ちを込めてサポートしていくうちに一言二言言葉を交わしてくれるようになり、寛解状態となって薬局を元気な姿で去っていく。

 元吉さんは「薬に頼らない認知行動療法やカウンセリングにつなぐことが必要」と訴える。不眠で悩む患者には「夜にスマートフォンを見るのを控えて」「軽く運動してみては」と提案。健康サポートや生活習慣の改善から関与する。

羽田空港内の式場で結婚式。草加市薬剤師会メンバーと

羽田空港内の式場で結婚式。草加市薬剤師会メンバーと

 活躍の場は薬局から地域へと広がっている。薬剤師会理事として学校薬剤師の活動や、草加市内にある准看護学校で薬理学の講義を行う。30代、40代の理事が他地域薬剤師会に比べても多く、切磋琢磨する環境がある。「草加で生まれ育ったので地域貢献したいですね」と草加市への思いも溢れる。

 航空関係の仕事には就かなかったものの、結婚式は羽田空港内の式場で行い、パイロットや整備士、キャビンアテンダントの友人が多く参加したという。今では幼稚園児の長男、1歳の次男の2児の父だ。「休日は子供と遊ぶために公園を探して出かけています」。父として子供と過ごす時間は気分転換にもなっているようだ。

目次

関連リンク



‐AD‐

この記事と同じカテゴリーの新着記事

HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術