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SGLT2阻害薬、薬局薬剤師も育薬意識を

2015年6月26日 (金)

 SGLT2阻害薬は、腎尿細管のブドウ糖再吸収を抑制して余剰な糖を尿中に排出させる作用機序で、強力な血糖降下作用と体重減少効果を同時に発揮する夢の2型糖尿病治療薬として、昨年4月以降に相次いで上市された。

 同剤は、特に、肥満傾向の糖尿病患者への投与が期待される一方、その作用機序より発売時から様々な安全性面からの懸念も指摘されている。実際、昨年夏の「適正使用に関するリコメンデーション」提唱後も副作用報告が続き、わが国での使用は未だ限定的である。

 報告されている有害事象の多くは、性器感染症と皮膚症状だが、重篤例は少なく投与中止で軽快する症例が多い。むしろ問題は、脱水に伴う脳・血管イベントの発症による死亡例で、昨年末で10人の死亡者が出ている。

 翻って肥満を伴う2型糖尿病患者が多い欧米諸国では、SGLT2阻害薬は第一選択薬のメトフォルミンに次ぐ、第二選択薬の一つとして繁用され始めている。

 その要因は、肥満2型糖尿病治療において、体重減少やメタボリックパラメーターの改善効果など、他の治療薬に見られないメリットがあるためだ。

 とりわけ、SGLT2阻害薬では、同剤が有するHbA1cの低下効果に加えて、体重減少によるHbA1c低下への期待が大きい。

 インスリンの投与では、投与量が上がれば体重が増加し、患者のモチベーションも低下する。だが、インスリンとSGLT2阻害薬を併用すれば、インスリンを相当量減らせることで体重が減少し、患者のモチベーションも大きく向上する。

 これまでの実臨床例から、SGLT2阻害薬の投与では、▽BMI25以上▽70歳以下▽利尿薬との併用禁止▽心血管イベント歴がない――が大きなポイントになると考えられる。

 「これら四つのポイントにきちんと留意して適正使用すれば、SGLT2阻害薬は、インスリンの投与量を減らしながら血糖コントロールできる有用な治療薬になりうる可能性がある」と指摘する専門医の声も少なくない。

 SGLT2阻害薬の適正使用では、言うまでもなく保険薬局の薬剤師による服薬指導が不可欠である。同剤の特異的な副作用である脱水防止では、適度な水分補給および夏場の脱水への注意喚起がより重要となる。

 「腎機能への影響」や「体重減少」「投与後1~2日での出現を特徴とする薬疹」「閉経後女性の尿路感染症発症頻度の上昇」などにも留意する必要があるだろう。処方監査では、利尿薬はもちろん、降圧剤・利尿薬合剤の併用チェックも忘れてはならない。

 SGLT2阻害薬は、新規作用機序ゆえに有用性や副作用がまだ十分に分かっていない。従って、有効症例や有害事象などを収集し、それを解析してエビデンスを積み重ね、適正使用につなげる“育薬”が重要となる。保険薬局の薬剤師も、育薬の意識を持って患者からの有害事象の訴えを記録・報告し、同剤を必要とする患者に安心して届けられるように努力してほしい。




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