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薬学教育発展の土台に

2016年9月2日 (金)

 日本薬学教育学会が8月27日、正式に発足した。他の医療人教育分野では既に医学、歯科医学、看護学など分野ごとに教育学会が設立されている。薬学においても教員からのニーズの高まりを受け、薬学教育を主題に据えた学会が満を持して立ち上がった。薬学教育の改善、発展を推進する土台として今後、大きな役割を担うことになる。

 薬学教育6年制が2006年度から始まり、薬剤師の養成に必要な教育の充実が図られてきた。年限延長と教育内容の変革に対応するため、各薬系大学は工夫しながら新たな教育に取り組んでいる。学会設立によって、薬学教育を主題に関係者が一堂に会し、年に1回の大会や会誌などを通じて取り組みを発表したり、意見を交換したりする場ができたことにまず大きな意義がある。これまでは取り組みを発表、共有する場は関連学会に分散し、薬学教育が主題にはなりづらかった。

 さらに学会の設立は、薬学教育そのものを研究対象として位置づけ、科学的なプロセスを導入して薬学教育を評価し、改善する動きの推進にも役立つ。その教育手法によって薬学生にどのような教育効果があったのかを客観的な指標で検証し、不十分なところを改善したり、改良を加えたりするサイクルを繰り返せば、薬学教育はより良いものになっていく。

 その機運は高まりつつあるようだ。8月27、28日に京都薬科大学で開かれた日本薬学教育学会第1回大会では薬系大学や病院、薬局における様々な教育の取り組みが発表され、教育効果などを科学的な視点で検証しようという意識が随所に認められた。とはいえ薬学は、教育を研究対象とすることに慣れていないため、まだ試行錯誤の域にとどまっている感は否めない。他領域での取り組みを参考に、科学的な薬学教育評価法を少しずつ確立していくことが今後求められる。学会設立はその原動力になり得る。

 病院や薬局で薬剤師として働いた後、薬系大学に異動した実務家教員にとっても学会設立の意義は大きい。実務家教員は主に臨床系教育を担当し、研究活動にまで手を伸ばせる余力に乏しいのが現状だ。教育そのものが研究対象になるのであれば、実務家教員も教育と研究を両立させられる。その結果を論文にまとめ業績を示せば、学内の理解や評価も得られやすくなり、総じてモチベーションの向上につながる。

 もっとも実務家教員だけでなく基礎系の薬学教員も4年制薬学部の教員も、実務実習の指導薬剤師も教育に関わる以上、全ての関係者は教育効果を科学的に評価し、改善に努める必要がある。こうした観点から日本薬学教育学会は、薬系大学教員に加え薬剤師や学生、企業の教育研修担当者など幅広い関係者の参加を呼びかけている。やがて会員の中から薬学教育研究の専門家が誕生し、この領域を牽引する日も到来するだろう。




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