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【OTC胃腸薬市場】減少に歯止めかからず‐富士経済が調査

2009年04月15日 (水)

 マイナス推移が続いている胃腸薬など消化器官用薬は、今後も減少が見込まれるのに対して、花粉症対策や高齢化による疲れ目、コンタクト装用者の増加などを追い風に、目薬市場は拡大するとの調査結果を、富士経済がまとめた。調査では、各薬効群に及ぼす改正薬事法の影響についても分析し、報告書「一般用医薬品データブック2009No.1」に収めた。

 富士経済は6月から施行される改正薬事法によって販売方法が大きく変わる国内の一般用医薬品市場の調査を行っている。今回まとまったのは胃腸薬、その他消化器官用薬、眼科用薬、外皮用薬の4分野、全22品目の市場動向。改正薬事法を睨んで、スイッチOTC化に期待がかかる一方、第1類薬の訴求ポイントを第2類薬などでカバーし、市場ポジションを狙う動きも見られている。

 調べられた薬効群についてみると、胃腸薬は治療薬から保健薬的な位置づけへ進んだことで、健康美容食品(H&Bフーズ)との競合が強まり、近年はマイナス推移が続いている。08年は前年比3・2%減の424億円で、09年見込も前年比2・6%減の413億円と予測している。

 そのうち、胃腸薬市場の60%以上を占めている総合胃腸薬は、食べ過ぎ・飲み過ぎ対策におけるH&Bフーズとの競合が強く影響して、年々実績が減少している。新たな需要を取り込むために、乳酸菌を配合した製品による中高年層に絞り込んだ展開も見られているが、市場全体に関しては、保健薬化の流れが続いて伸び悩んでいると分析した。

 改正薬事法との関連では、第1類薬になるH2ブロッカーの動向が注目されるが、調査では「ガスター10」(第一三共ヘルスケア)が、胃腸薬市場構成比の20%以上を占める制酸薬を牽引しているものの、胃腸薬市場全体での競合激化によって市場規模は縮小している。その一方、販売方法変更変による店頭ポジションをめぐって、ロート製薬などから胃痛対策を訴求した第2類新製品が投入されている。また、「セルベール」(エーザイ)は飲み過ぎ食べ過ぎ対策とは一線を画し、加齢に伴う胃粘膜の保護を訴求して08年は実績を伸ばした。

 整腸薬や止瀉薬、便秘薬、駆虫薬を対象とした「その他消化器官用薬」は、08年は前年比1・5%減の256億円。便秘薬や止瀉薬については、乳酸菌配合の胃腸薬や大腸訴求の整腸薬などとの競合が見られ、駆虫薬は少子化による検査回数の減少が影響していると指摘した。09年見込は、大腸訴求の整腸薬も落ち着きを見せて、前年比0・8%減の254億円としている。

 大腸訴求の整腸薬としては、「ザ・ガードコーワ整腸錠」(興和新薬)やお腹のハリの解消を訴求した「ガスピタン」(小林製薬)などターゲットを明確にした製品が、医薬部外品やH&Bフーズとの差別化を図り、08年は前年比3・2%増の32億円となった。しかし、大腸訴求製品も参入企業の増加によって飽和感が生じている。

 苦戦が続いている胃腸薬など消化器官用薬市場に対して、08年の眼科用薬市場は、前年比1・8%増の400億円となった。市場の40%を占める一般用点眼薬で「サンテメディカル10」(参天製薬)をはじめ、有効成分の配合量や配合成分数を増やすことで差別化した高価格帯製品の投入が相次ぎ、中高年層の疲れ目対策需要を開拓したと分析。価格訴求が一段落し、実績を伸ばしているとした。09年に関しては、一般用点眼薬の高価格帯製品や人工涙液、アレルギー用点眼薬が牽引し、前年比2・8%増の411億円と予測している。

 眼科用薬の市場として注目されるのはアレルギー用点眼薬。08年の花粉飛散量は前年並みだったものの、スイッチOTCとして解禁された「フマル酸ケトチフェン」製品が投入され、前年比4・8%増の44億円となった。

 アレルギー用点眼薬は、花粉飛散量に左右されやすい市場のため、ハウスダストなど通年のアレルギー対策を担う製品の取り込みが課題だとしている。その点では、第1類に分類されるフマル酸ケトチフェン配合製品が登場したことで、低価格化が進んでいる第2類のクロモグリク酸製品が、通年のアレルギー対策向け製品として、棲み分けを図れるかが注目されると分析している。

 09年は、花粉飛散開始時期が早まったことや、飛散量が多くなると見られていることなどから、花粉症対策需要によって眼科用薬は市場は大幅に伸長し、前年比13・6%増の50億円と見込んでいる。

 外皮用薬は、外用消炎鎮痛剤、水虫薬、ニキビ用薬、育毛剤、外用殺菌消毒剤、皮膚治療薬、救急絆創膏、口唇ヘルペス治療薬などが対象で、多くの分野が実績を落とし、08年は前年比0・6%減の1338億円となった。09年についても前年比0・6%減の1330億円と見込んだ。

 外皮用薬では外用殺菌消毒剤が500億円近い市場で規模が最も大きく、次いで育毛剤、救急絆創膏、水虫薬、皮膚治療薬、鎮痒剤がそれぞれ100億円以上の規模。外用殺菌消毒剤はフェルビナク製剤が増加したものの、それ以外が落ち込んだ。救急絆創膏は、創傷保護剤を使用した製品でアイテム数が増加したことや、ひびわれ、あかぎれへの訴求を行った製品が投入されたことで拡大していると分析した。

 外皮用薬の中で市場が特に伸長しているが育毛剤で、「リアップ」シリーズ(大正製薬)が市場の80%以上を占め牽引している。08年は「リアッププラス」が発売されて、前年比9・2%増の142億円となった。09年も、有効成分を5倍量配合した「リアップX5」の発売で、前年比7・0%増の152億円を見込んでいる。

 また、08年の水虫薬市場は前年比4・5%減の127億円で、09年も前年比5・5%減の120億円と予測している。ただ、塩酸アモロルフィンや塩酸テルビナフィンの複合剤が、07年から08年にかけて参入各社から相次いで発売され、激しいシェア争いが繰り広げられている。

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