講演会受発注システム強化
JTBが約10年前から運用を開始した講演会受発注システムが今秋から、製薬企業で多用されるVeevaのイベント管理システムと連携し本格活用できるようになった。医療従事者向け講演会の会場や交通・宿泊等の調達、経費データを両システム間で統合管理することで、講演会開催費の透明化、社内業務の効率化を後押しする。より効果的な講演会の開催にもつながるという。

各種データの連携で様々な効果が生まれる
講演会受発注システムの名称は「Event Booking Online support system」。製薬企業の小規模講演会を含むあらゆる講演会の調達課題を解決するためにJTBが開発した。本社の営業部門が企画する全国単位の大規模講演会とは違って、地域の医師数十人を対象に開く小規模講演会は、その地域を受け持つ各MRが企画や運営を手がけることがほとんど。講演会の会場選定、医師の交通手段や宿泊の手配、弁当の調達などはMRに委ねられているため、本社では詳細を把握しづらく全体的な管理を行いにくいことが課題だった。
MRや管理者は全国約2300カ所の大小講演会会場から複数の候補に見積もりを依頼し、費用面でも最適な講演会の会場を選定できる。JTBが持つネットワークに加え、ユーザー企業の持つ公的施設等の情報を加えて、充実した会場候補情報を持つことが特徴だ。
出席予定医師の交通手段や宿泊の手配も行うことができる。交通手段として医師には、JTB独自のタクシーチケットも提供できる。これは、別日に違う用途で使用されて医師への利益供与とならないよう使える日や金額を制限したもの。コンプライアンス遵守のニーズを受けて開発した。
MRは、同システムを通じて講演会に必要な会場や宿泊、交通の調達を行える。会場等への費用支払いもJTBが仲介するため、MRやプランナーに費用立て替えが生じることはない。戦略購買やデータマネジメントを通じた会場費の削減を実現できるほか、精緻な予実管理、各種業務の効率化に伴う間接コスト削減も期待できる。
外資系製薬企業の日本法人で、今月からVeevaのイベント管理システムと連携してデータを一元化する運用が始まった。同社の顧客管理システムと戦略活用できることも強みだ。
この連携で、顧客管理と講演会管理、会場や交通手段の手配などを統合的に運用できるようになる。データの一元化によって、単に情報の二重入力の手間を省くだけでなく、全てを連動させた講演会の戦略的な管理や企画が実現する。
JTB西日本MICE事業部の内海貴之副事業部長は「今回の連携で、本社で企画する全国講演会だけでなく、製薬企業の講演会費用の約4割を占める小規模講演会についても、予算消化の透明化や経費の可視化、実績の管理などを一元的に行えるようになる」と話す。
講演会1回当たりの費用を下げることができれば、開催回数を増やせる。顧客管理システムとの連携で講演会の費用対効果を分析することで、より効果的な講演会の開催にもつながる。調達プロセスの透明化はコンプライアンスやガバナンスの強化にも直結する。
世界的に多用されるイベント管理システム「Cvent」との連携も可能。各製薬企業が持つ固有のイベント管理システムとの連携も積極的に進める考えだ。
JTB 西日本MICE事業部
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