新たな評価サービス投入へ‐AI搭載のPVシステムを評価

集氏
製薬企業向けにGVP/CSVバリデーションコンサルティング事業を展開するヒロファーマコンサルティングは、来年にもAI機能を搭載した安全性情報管理(PV)システムの信頼性保証を評価するサービスを投入する。製薬企業がAI搭載PVシステムを導入する際に、そのシステムの信頼性保証が担保され、GVPなど規制要件に適合しているかを評価するバリデーション手法を特許出願中。AI機能搭載のPVシステムの信頼性保証が稼働後も維持されているか心配する声が多く、システム導入の判断材料に役立ててもらう。
同社は2019年に大阪市に設立。アステラス製薬、アリスグローバル日本法人でIT、GVP/CSVバリデーション業務を経験した集弘就代表取締役が創業した。
同社が今後、展開していくのはAI搭載PVシステムのGVP/CSVバリデーションコンサルティングサービスだ。製薬企業が上市後の安全性管理業務でPVシステムを使用する場合には、厚労省のGVP省令やGVPガイドラインを遵守しているかなどを本番稼働前後に信頼性保証を担保するためのGVP/CSVバリデーション活動が必要になる。
国内のAI-PVバリデーションに関する正式な規制やガイドラインはまだ発出されておらず、製薬企業も「様子見」の段階。特にPVシステム本番稼働後にAIの信頼性保証が維持されているか懸念する声が大きい。
こうした不安を払拭するため、同社は合理的で納得性があり、検証作業負荷が過度にならないよう「AI機能を搭載したPVシステムのGXPバリデーション手法」を考案して昨年12月に特許申請を特許庁に出願した。特許出願後の今年9月には特許審査官との面談を経て「新規性・進歩性」を認める方向との中間評価を受けて、本年末には「特許査定」の最終判断が出る予定である。来年1月からバリデーション手法を適用する場合に必要な導入初期コンサルティングサービスや検証に必要なサポートセットの提供を開始する。
AI機能PVシステムをAI機能で検証するのではなく、人間系評価を組み合わせることで、サンプリング症例が期待する成果になっているかの手法でバリデーション実行と記録を行うという。
AI搭載PVシステム本格導入前の実施可能性を評価するFSフェーズにもサービス利用を提案する。集氏は規制当局に法令やガイドライン遵守を報告・説明する際に「監査対応根拠データとして使っていただきたい。AIをCSVにした際のひな型ドキュメントも提供する」と話す。
欧米ではPV業務の症例1次評価部分でAI技術を組み込んだPVシステムが開発・提供され、一部の製薬大手は運用を開始している。米FDA、欧州EMAはAIに関連したドラフトガイダンスを公表している。
集氏は「欧米のグローバル製薬大手からはAI機能を利用したPVシステムの報告が出てきており、大幅な費用削減効果があるとされている」と話す。製薬大手がCROに外部委託する場合の1症例あたりの委託費用単価について1症例2万円、5万件とした場合には「単純計算で5億円の外部流出経費削減可能」と試算。製薬企業がPV業務に投じている人的リソースやコストの効率化も後押しする。こうした外部環境を踏まえるとAI-PVシステムの信頼性保証の検証が今後重要になってくる。
特許取得後はヒロファーマによるサービス提供に加え、コンサルティングファームや製薬企業にライセンスの実施権を許諾し、使用してもらうことも検討している。一方、PVシステムを提供するメーカーやベンダーにもAI機能の信頼性を評価するサービスへの本特許手法適用を提案することを検討する。
ヒロファーマコンサルティング
(AI機能を搭載したGxP対応とPVコンサルティングサービス)
https://hiropharmaconsulting.com/service/2025/05/07/189/