エーザイと米大手CROのクインタイルズは、抗癌剤開発に関する戦略的提携契約を締結した。エーザイが開発中の6候補化合物について、クインタイルズは11の適応症を取得するため、第II相のPOC(ヒトにおける有効性と安全性)試験を同時に進める。通常のアウトソーシングとは違い、両社が共同出資することで、製薬企業とCROが開発リスクを共有する一方、成功報酬を受け取るという新しいビジネスモデルとなる。
今回の提携を受け、エーザイとクインタイルズは、抗癌剤候補化合物「E7839(エリブリン)」「E7080」「オンタック」「E7820」「E6201」「E7050」の適応取得に向け、並行して開発を進める。エーザイは、乳癌を対象としたエリブリンの第III相試験など18の適応取得に向けた単独開発を行う。一方、クインタイルズは、非小細胞肺癌、膀胱癌を対象としたエリブリンの第Ib/II相併用試験など11の適応取得に向けたPOC試験を同時に進め、適応候補を倍増させて開発期間の大幅な短縮を目指す。
これまでCROは、製薬企業から受託したプロジェクトの成否にかかわらず、開発を終了させることが役割だったが、今回の戦略的提携は、製薬企業とCROが共同出資し、開発が成功した場合に報酬を受け取ることができるという、新しいビジネスモデルとなる。これにより、エーザイは、抗癌剤の開発プロジェクトを同時進行させ、多数の適応を迅速に取得することで、開発期間の短縮を狙う。
微小管阻害剤「エリブリン」、全生存期間を2カ月延長
またエーザイは、微小管伸長阻害剤のエリブリンについて、難治性乳癌患者を対象に、三次治療の可能性を検討した第III相試験「305試験」で、主要評価項目の全生存期間を有意に延長したと発表した。エリブリン群は、治験医師選択療法群に比べて約2カ月間の延命効果を示したという。