
講演する望月氏
薬学教育協議会の望月正隆代表理事(東京理科大学教授)は15日、横浜市で開催された「実務実習サミット」で講演し、薬学生長期実務実習について、同協議会病院・薬局実務実習調整機構の基本的考え方(案)を明らかにした。それによると、薬局実習の受け入れ学生数は、1期1薬局2人までに限定し、原則的には単独薬局で完結させるものの、薬局製剤、漢方製剤、在宅医療に関する実習については、同一地域内の他の薬局への委託を認める。20日にも組織決定する方向だが、関係者の合意が得られるか不透明な部分もある。
実務実習指導薬剤師の人数とは無関係に、学生数を絞ったのは、特定の薬局への集中を防ぐことが理由。望月氏は、「学生が育つと同時に、薬局にも、学生を受け入れることで育っていただきたい。当面は人数を制限して、なるべく広い範囲の薬局に受け入れてほしいという気持ち」と話した。
調整機構の案では、受入薬局が満たす基準として、▽モデルコアカリキュラムで求められる全ユニットを実習可能▽一般用医薬品等を販売▽在宅患者訪問薬剤管理指導料の届出▽麻薬小売業免許の保有--などを挙げている。単独で対応できないケースに配慮して、一部の実習に限って、同一地域の他の薬局に委託できることも盛り込み、外部に委託しても、実習の責任は受入薬局の指導薬剤師が持つことも明確にした。
また、地域が主体となって受入体制を整備する事項も整理。休日急病診療所や防災センターなどの見学、学校薬剤師業務、医薬品適正使用の啓発、麻薬・覚せい剤の乱用防止等に関する教育は、地域として実施できることを示した。
さらに、学生の評価については、受入薬局の指導薬剤師が大学と共に行い、実習の一部を他の薬局に委託した場合には、委託先の薬剤師の評価も参考にすることとしている。
このほか、学生側の条件として、▽事前学習が十分行われている▽第三者評価等で確認された教育プログラムを受けている▽薬学共用試験を通じて知識、技能、態度の評価が行われている――などを整理している。
望月氏は「学生と共に学ぶのが新しい教育であり、一番いい。あまり“教えなければ”と思わないで、気軽にやってほしい」と述べ、「よい薬剤師が育てば、日本の医療は必ず良くなる」とした。