
会見する診療側委員
中央社会保険医療協議会の診療、支払の各側は12日、2010年度診療報酬改定案答申後にそれぞれ記者会見を開き、今改定の総括や今後の課題について見解を披露した。
支払側:「プラス改定は残念」‐早期に“12年度”議論を
支払側は白川修二委員(健保連常務理事)が代表して、「小幅とはいえ、プラス改定については残念」とし、昨年末に内閣が初めて医科の入院・外来別の改定率を決定したことに触れ、「配分は中医協の審議事項なので、その点は12年度改定に向けて議論していかなければならない」と指摘した。
ただ、支払側が一貫して主張してきた救急・産科・小児科・外科の評価や、勤務医負担軽減が実現したため、「この二つの課題に手厚い評価ができ、非常に良い改定ができた」と感想を述べた。また、再診料の病院・診療所格差の是正、明細書発行の拡大についても、「高く評価する。本当に良かった」と安堵の色をのぞかせた。
今後の対応では、「基本診療料は重要な課題と認識している。積極的に診療側とも協議したい」とし、医療・介護同時改定となる12年度に向け、精力的に検討を進める意気込みを示した。
また、小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「今回、後発品促進につながる取り扱いがパッケージで決まった。患者の視点、加入者の目線を重視して取り組んでいきたい」と、協会けんぽの立場で後発品使用をさらに進める意向を示した。
中島圭子委員(連合総合政策局長)は、「厳しい社会保障財政や経済情勢と、医療提供体制を守るバランスの中での改定で、お互いに苦しい形だったが、活発に議論ができた」とすると共に、医療・介護同時改定の議論を、できるだけ早期に始めたい考えを示した。
勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)は、自身3回目の改定で実現した、明細書の原則全患者への無料発行の意義として、[1]患者に薬の正式名称が伝わる[2]日本中の国民が診療報酬を考えることにつながる――の2点を挙げた。さらに、「今の中医協メンバーだからこそ実現できた」と謝意を示した。
また、北村光一委員(日本経団連医療改革部会部会長代理)は、「大変制約的な財源の中で、メリハリの効いた内容で決着したと、高く評価できる」と述べたほか、「医療経営と質の問題で転換期にぶつかっていると感じた」と振り返った。