
手代木社長
塩野義製薬は、2010年度~14年度まで5カ年の第3次中期経営計画を発表した。新中計は、主力の高脂血症治療薬「クレストール」を核に、グローバルで本格的な成長を目指すステージと位置づけ、最終年度の14年度には売上高3750億円、営業利益1100億円の達成を掲げた。
国内では、4月導入の新薬創出加算を追い風に、高血圧治療薬「イルベタン」、抗うつ薬「サインバルタ」、特発性肺線維症治療薬「ピレスパ」、抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ」など、戦略的新薬8品目の販売を拡大し、長期収載品に依存しない収益構造に転換する方針を打ち出した。
特に、「クレストール」「イルベタン」「サインバルタ」を最重要戦略品目と位置づけ、これら3品目で売上高1000億円を目指す。14年度には、新薬8品目の売上高比率70%以上を目標とし、国内売上高を09年度比25%増の2000億円に引き上げる。
都内で開いた中期経営計画説明会で、手代木功社長は「新薬創出加算のメリットを享受できるパイプラインを持っている」と自信を示し、新薬8品目に特化した営業活動を展開する方針を明らかにした。
グローバル成長の核となるクレストールは、米アボット、英アストラゼネカと連携することで、ロイヤリティー収入750億円以上を目指す。その結果、14年度の海外売上高を09年度の543億円から870億円に引き上げ、ロイヤリティー収入を除いた海外売上高比率を30%にまで高め、グローバル展開を加速させる。
研究開発では、肥満・糖尿病、ウイルス感染症を重点疾患領域と位置づけ、新たな疾患領域の研究にも挑戦する方針を示した。その上で、自社創製品の抗HIV薬「S‐349572」、抗肥満薬「S‐2367」「S‐234462」をはじめ、成長ドライバーと位置づける重点領域の開発パイプラインに資源を集中し、中計期間中に自社創製品4品目の海外申請、1品目以上の承認取得を目指す。
中長期的には、16~17年に迎えるクレストールの特許切れを、これら自社創製品でカバーし、20年には売上高6000億円、営業利益率25%以上、海外売上比率50%以上を目指すべき姿として掲げた。
手代木氏は「成長を実感できる5カ年にしたい」と意欲を語る一方で、「クレストールへの依存度は大きい」との認識を示し、収益構造の転換を急ぐ考えを強調した。