
米食品医薬品局(FDA)は2019年7月26日、トファシチニブ(商品名ゼルヤンツ、ゼルヤンツXR)1回10mgを1日2回服用している潰瘍性大腸炎(UC)患者で、血栓症と死亡のリスク上昇が認められたとの新たな警告を発表。UCに対するトファシチニブの適用は、他の薬剤に対して反応を示さない患者、または重度の副作用を呈する一部の患者に限定されると述べた。
今回の変更は、関節リウマチ(RA)患者におけるトファシチニブ5mgおよび10mgの1日2回投与の有効性と安全性を評価する進行中の臨床試験の中間データを精査した上でなされたものであり、最も重大な枠組み警告(Boxed Warning)にも追加された。
FDAによると、この臨床試験を精査した結果、トファシチニブ1回10mgの1日2回投与は、1回5mgの1日2回投与やTNF阻害薬と比べて、血栓症と死亡のリスクを高めることが明らかになったという。トファシチニブは、メトトレキサートに反応不良な成人RA患者の治療薬として2012年に初めて承認された。RA患者に対する承認用量は1回5mgの1日2回投与である。さらに、2018年、同薬について、UCの適応が追加承認された。FDAは、今回判明したRA患者のリスクはUC患者にも当てはまる可能性があるとしている。
FDAは、呼吸で悪化する胸痛や急な息切れといった血栓を示唆する異常な症状を認めた場合、トファシチニブの服用を中止し、すぐに救急受診するよう患者を指導することを医療提供者に要請している。また、UCの治療に際し、医療提供者は、血栓症のリスクが高いことが疑われる患者へのトファシチニブの処方を控えるほか、同薬を最小有効量で用いたり10mgの1日2回投与期間を短縮したりすべきことを求めている。(HealthDay News 2019年7月26日)
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https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-approves-boxed-warning-about-increased-risk-blood-clots-and-death-higher-dose-arthritis-and