エーザイの内藤晴夫社長は14日、都内で開いた決算説明会で、最重点開発テーマの重症敗血症治療剤「E5564」(一般名:エリトラン)について、「珠玉の玉と言える製品であり、いよいよラストスパートに入った」との認識を述べ、2009年度の日米欧同時申請に自信を示した。
「E5564」は、敗血症の原因物質とされるエンドトキシンとTLR4受容体の結合を阻害し、死亡率を改善するエンドトキシン拮抗剤。現在、発症から12時間以内の投与開始という厳格なプロトコールのもと、日米欧で国際共同第III相試験を実施中で、既に1100例以上が登録されている。09年度第2四半期には、申請に必要な中間解析数1500例を達成し、09年度中に日米欧同時申請を目指す方針だ。
今後、1100例による独立データモニタリング委員会(DMC)の安全性評価が予定されている。これまでの臨床試験で高い安全性が認められ、過去3回の安全性評価でもプロトコール変更を行わずに、試験の継続が推奨されてきたことから、内藤氏は「09年度中の日米欧同時申請に向け、非常に力強く歩んでいる。いよいよラストスパートに入った」との認識を示し、「敗血症の臨床試験は難しいが、(発症から12時間以内の投与開始という)難易度の高いプロトコールで症例が集積しているのは、データの質が高いということだ」と強調した。
09年度には、微小管伸長阻害剤「E7389」も日米欧で同時申請する予定になっており、既に欧米で実施中の第III相試験「乳癌305試験」は登録を完了。近く最終解析に必要なイベント数411例に到達する見込みで、8月にはデータベース固定を予定している。一方、国内申請用の第II相試験「乳癌221試験」も登録を完了し、開発が最終段階に入っている。