【千葉大】「ロコモ」と「メタボ」の関係解明‐50代から重複して出現しやすい

2025年05月09日 (金)

 千葉大学の中川良特任准教授らの研究グループは、大宮シティクリニックの健診者のリアルワールドデータを用い、ロコモティブシンドローム(ロコモ)とメタボリックシンドローム(メタボ)の有病率とその関連性を解析し、両者が50代から重複して出現しやすいこと、および早期介入の重要性を明らかにした。4月19日に国際雑誌「Scientific Reports」に掲載された。

 同研究グループは、2021年度に健診を受けた3万5059人(平均年齢50歳、標準偏差値±9.6歳、男女比6:4)のデータを解析した。ロコモは、日本整形外科学会「ロコモ度テスト(立ち上がりテスト・2ステップテスト・ロコモ25)に基づいて評価し、メタボは、米国のNational Cholesterol Education ProgramのAdult Tretment Panel IIIが提唱しているガイドラインに準じて判定した。

 その結果、ロコモは全体の約15%、メタボは約7.5%が該当することが明らかになった。ロコモ該当者の割合は、メタボ該当者で約24%と、非メタボ該当者の約15%に比べ有意に高く、多変量解析でも、年齢や性別を調整した上でメタボ該当者ではロコモのリスクが1.87倍に上昇することが示された。メタボの有無に関係なく加齢に伴うロコモの割合は増加すると共に、全年齢でメタボのある者はメタボのない者と比べ、ロコモの割合が高いことも示された。

 特に、50代の男女において、ロコモとメタボの重複率が高く、50代メタボ該当者のうち、男性の32.0%、女性の53.2%がロコモを併発しており、これは非メタボ該当者(男性15.2%、女性25.3%)の2倍以上に該当した(男性2.11倍、女性2.10倍)。また、ロコモとメタボが合併している50代の男女では、腹囲と血糖値が有意な上昇と共に、高血圧、糖尿病、高脂血症の治療をしている人の割合が有意に高いことが示された。

 従来、ロコモは高齢者の足腰の衰えとして捉えられがちだったが、今回の研究から、中高年期におけるメタボがロコモのリスク因子になることが統計学的に示された。

 ロコモとメタボの合併は、肥満・高血圧・糖尿病・高脂血症といった代謝性疾患を悪化させると共に、高齢期における要介護リスクをさらに高める可能性がある。そのため、こうしたリスクを中年期の段階で早期に発見・介入するためにも、メタボとロコモの同時健診の導入が有効であると考えられた。

 同研究グループは今後、この知見をもとに、中年期からの包括的な健康評価システムの構築や、生活習慣指導の標準化へとつなげていく予定にしている。


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