【NEDO/東北大・アイシン】CMOS/スピントロニクス融合技術活用しエッジAI向け実証チップの開発に成功

2025年07月10日 (木)

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は7日、東北大学とアイシンが、磁気抵抗メモリ(MRAM)を大容量搭載したエッジ領域向け「CMOS/スピントロニクス融合AI半導体」を開発したことを明らかにした。OSやアプリの起動用途とメインメモリ用途を兼ね備えた内蔵メモリとして、CMOS/スピントロニクス融合技術を活用した、エッジAI向けアプリケーションプロセッサ搭載チップの開発は世界初となる。

 これは、NEDOの「省エネAI半導体およびシステムに関する技術開発事業」の中で、エッジ領域に適した高性能かつ省エネなAI半導体デバイスの早期実現を目指し、開発を進めてきた一つの成果となる。

 同事業において、東北大はMRAMを用いた自動設計環境の構築や設計ツールの高度化を行い、大容量MRAMを搭載したAIアクセラレータを開発した。アイシンは、このAIアクセラレータと、アプリケーションプロセッサ、大容量MRAM、および周辺回路を統合し、画像認識などの機能を実現できる実証チップを開発した。

 大容量の不揮発性MRAMを実証チップに内蔵したことで、起動(BOOT)時にかかる時間を極めて短くできるほか、メモリへの書き込み/読み出しにかかる時間や電力を大幅に削減できるなど、これまでとは一線を画した特徴が得られ、様々なAI応用の場面で、これまでにないユーザー体験やメリットを生み出すことが想定される。

 開発された実証チップを搭載した実証システムで実測を行った結果、▽電源ONからOS起動を経て最初のAI処理完了までのエネルギー効率が従来比で50倍以上▽電源ONからOS起動するまでの時間が従来比で30分ノ1以下――という効果を確認している。

 同事業が目指す多様な社会実装までのプロセスとしては、今回の研究開発である「CMOS/スピントロニクス融合技術によるAI処理と、そのLSIの効率的設計技術・実証」を経て、

 ▽第1ステップ:共同提案企業により同開発技術による製品を世界に先駆け出荷(エッジサーベイランスおよびビークルインフォテイメントシステム市場)

  ▽開発する使い勝手のいい設計支援ツール(回路IP・設計ツール・PDKなど)をMETI(地域の中核大学の産学融合拠点の整備)で整備されるスピントロニクスロジック設計室(仮)に整備

 ▽第2ステップ:高度なISスキルを持たない国内中小企業・ベンチャー企業に設計支援ツールを提供することにより、ユーザーを拡大(自動車・交通、ヘルスケア、シティ、インダストリ、ホーム市場への拡大)

 ――を目指していく。

 NEDOは、今後もエッジ領域での分散コンピューティング実現に向けて取り組み、AI処理でのエネルギー効率改善とその早期社会実装を通じ、高度なエッジコンピューティングの実現を目指していく。東北大学は、今回の成果をさらに発展させ、エッジAI領域を含め半導体の設計効率向上と、低消費電力AI半導体技術の高度化に資する研究開発を推進していく。アイシンは、この研究成果をいち早く実用化につなげるため、車載機器やその他幅広い分野の応用製品開発に取り組む。


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