オリンパスは7日、イノベーションと組織改革を通じて内視鏡医療を刷新する包括的な経営戦略を発表した。「イノベーションのよる成長」「シンプル化」「責任ある行動」――の三つの戦略基盤により、最先端技術を強化させることで、メドッテク業界におけるグローバルリーダーとしての地位を確立し、世界中の患者の医療水準の向上を目指していく。
同社は内視鏡技術を活用して医療の未来に向けたビジョンとして、AIやロボティクス、それらを統合したデジタルエコシステムによる高度で低侵襲な内視鏡検査の具現化を掲げている。これにより、疾患の早期発見を可能にし、医療アウトカムを向上させると共に、より安全で継続的な医療の提供に貢献することを目指している。
そして同社は、世界に広がる内視鏡システムという強固なインフラを基盤とし、ケアパスウェイ全体におけるアンメットニーズに対してイノベーションを推進し、内視鏡医療の新たなスタンダードを築いていくことを目指している。
今回の経営戦略の柱となる三つの戦略基盤の中の「イノベーションによる成長」では、AI、ロボティクス、クラウド型ソリューションにより、内視鏡分野におけるリーダーシップ拡大を目指していく。「シンプル化」「責任ある行動」では、組織改革を加速させ、プロセスを最適化し組織を活性化することで、持続可能なパフォーマンス文化を育んでいく。
組織変革については、経営戦略の一環として、戦略的優先事項に応じたリソース配分を行うため、グローバルでの組織変革を実施していく。この変革では、経営戦略の着実な実行と目標を達成するため、新しいオペレーティング・モデルを導入するのに合わせ、グラーバル人員最適化プログラムを実施していく。このモデルが同社の存在意義である「世界の人々の健康と安心、心豊かさ」の実現を強固にしていく。
このため、組織のあらゆるレベルにおいて、組織構造と人員の適正化を予定している。この適正化には、約2000ポジションの削減が含まれる見込み。組織をシンプル化することや階層を減らし、個々のマネージャーが管理するメンバーや範囲を広げることで、よりスピード感と責任が明確化された体制を実現していく。
これは、2026年3月期から開始し、大部分の効果は27年3月期に実現する予定。これにより、実施前と比較して年間約240億円のコスト削減を見込んでいる。
こうした成長戦略と組織変革計画によって、患者、医療従事者および株主に持続的な価値の提供を実現していく。
同社取締役代表執行役社長兼CEO(最高経営責任者)のボブ・ホワイト氏は、「オリンパスは転機を迎えます。私たちは業界をリードする内視鏡システムを基盤とし、ハードウェアを超えた『インテリジェントで統合された』内視鏡医療の未来を描いています。組織をシンプルにし、スピード感を高め、次世代の医療技術への積極的な投資を行います。私たちの存在意義とコアバリューに基づき、オリンパスは内視鏡医療に新たなスタンダードを確立させ、世界中の患者さんに対してより良い医療を届けます」と述べている。
同日、26年4月1に付けの役員人事を発表した。キース・ベティガー氏〔現執行役員消化器内視鏡ソリューション事業担当役員(共同責任者)〕が、執行役最高消化器内視鏡ソリューション事業責任者に就任する。ベティガー氏はフランク・ドレバロウスキー氏の後任となり、ドレバロウスキー氏は最高経営責任者(CEO)のシニアアドバイザーとして同社の戦略的優先事項を支えていく。
また、代表執行役会長兼ESGオフィサーの竹内康雄氏は、296年3月末をもって退任する。竹内氏は19年に代表取締役社長兼最高経営責任者に就任して以来、同社を真のメドテック企業へと転換させ、「私たちの存在意義」と「コアバリュー」を浸透させてきた。竹内氏のリーダーシップのもと、同社はガバナンスを強化し、経営陣・取締役会の多様性を推進し、グローバル・メドテックカンパニーを目指すための基盤を築きた。
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