
会場風景
医療機器の製造・設計に関する国内唯一の展示会・セミナー「Medtec Japan」(メドテックジャパン)が21日、東京・有明の東京ビッグサイトで開幕した。17回目を迎えた今回は海外企業54社を含む395の企業・自治体等が出展し、来場者は昨年同様の1万7000人超を見込む。会期は23日まで。初日は、来賓による特別メッセージセッションのほか、「Medtecイノベーション大賞」の最終選考と発表が行われた。大賞には徳島大学の「Vas Guide」が選ばれた。
特別メッセージセッション-経産省医福室などからメッセージ
特別メッセージセッションでは、経済産業省商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室室長補佐の門川員浩(かどかわかずひろ)氏、一般社団法人日本の技術をいのちのために委員会理事長の妙中義之氏、一般社団法人日本医療機器産業連合会会長の山本章雄氏、スタンフォード大学主任研究員の池野文昭氏が登壇し、メドテックジャパンへの期待などを語った。

門川氏
門川氏は大石知広室長の代理として登壇し、「メドテックジャパンは、日本と海外を繋ぐプラットフォームとして、多様なプレイヤーが出会い、新たなイノベーションを創出する極めて重要な場と考えている。経済産業省も、医療機器産業の競争力強化に向けて、研究開発の支援、規制改革の推進、国際展開の促進などを通じて、皆様の取り組みを力強く後押していく」と述べた。

妙中氏
妙中氏は、「イノベーティブなことをやるのがイノベーションではない。社会に実装して、社会に役立ててこそイノベーションだ。医療機器のイノベーションを起こすための展示会としてこのメドテックが位置づけられている。皆さんこの展示会で成果を上げていただきたい」とイノベーションの意義を強調した。

山本氏
山本氏は、医療機器のイノベーションは、医師をはじめとした医療従事者、理工学系の研究者、技術者、経営者、各省庁の連携が不可欠とした上で、「そのときに非常に大事なキーワードが異文化融合。異文化融合というのは体力がないとできない。その体力とは心の若さと好奇心だ」と述べた。

池野氏
池野氏は、この場で話す内容をChatGPTに考えてもらったが全然面白くなかったので、自分で考えたことを喋ると断った上で、「名刺600枚持ってきたけど全部なくなっちゃいましたぐらいな感じで、いろんな人と繋がっていただきたい。ノウハウを勉強するのも、もちろん大事だけど、一番重要なのは誰を知っているかだ。1人では何もできない。同じ志を持った人たちが集まって初めて大きなことを成し遂げることができる」と述べ、交流の重要性を訴えた。
メドテックイノベーション大賞-徳島大学「Vas Guide」が受賞

左から妙中氏、佐々木雄太郎氏(徳島大学)、イヴ氏
メドテックイノベーション大賞は、一次審査を通過した6つの製品を対象に最終選考を行い、この中から徳島大学病院泌尿器科の開発した「Vas Guide」(ヴァスガイド)を大賞に選出した。
ヴァスガイドは、「ロボット支援手術における血管テーピングを術者単独・ワンステップで完結できるよう設計された世界初のデバイス」。2023年6月にクラスI医療機器として承認を取得した。同年11月に徳島大学病院で臨床使用を開始し、2024年8月から国内販売を開始。2025年10月現在、全国約80施設で導入されており、泌尿器科のみならず消化器外科・呼吸器外科など他領域への応用も広がっているという。
選考委員長の妙中義之氏は、ヴァスガイドの選出理由について、「先生方の臨床ニーズをうまく製品化した。承認取得に必要な安全性と有効性だけではなく、手術時間を短くできるとか、合併症をほとんどなくせるとか、医療上の有用性を明確にした素晴らしい技術だ」と評価した。

受賞者と選考委員
大賞を含め、他の受賞者と製品は次のとおり。
Medtecイノベーション大賞:国立大学法人徳島大学「Vas Guide」
優秀賞:(株)エスケーエレクトロニクス;デジタルコルポスコープ「Q-CO」
加工技術賞:(株)ダイヤ精機製作所「EASY KNOT K.O.GRIP 持針器」
ウェルビーイング賞:(株)Berry「ベビーバンド」
敢闘賞:入江工研(株)「ツルサーズ点滴静注500mL用ポンプ」
アイデア賞:(株)リサシステム「アラーム検知之助」
優秀賞の「Q-CO」(キューコ)はデジタル化したコルポスコープ(子宮頸部等の病変を拡大観察する顕微鏡)。重量を従来型アナログ式の60kgから3.8kgへと大幅に軽量化し、価格も抑えた。クラスI医療機器。
加工技術賞の「EASY KNOT K.O.GRIP 持針器」(イージーノットケーオーグリップ)は、耳鼻咽喉科の内視鏡下鼻腔手術で困難だった深く狭いところでの縫合を可能にする持針器。難しかった手術が容易になるため、後継者育成や外科医不足の解消にもつながる。慈恵会医科大学の大村和弘医師が監修した。クラスI医療機器。
ウェルビーイング賞の「ベビーバンド」は、日本ではあまりなじみのない、乳児の頭の歪みを矯正するヘルメット治療システム。3Dプリンタで患者ごとにヘルメットを製造するのが特徴。同賞は今回初めて設けられた。
敢闘賞の「ツルサーズ」は、電源不要で、吊るさずに点滴をすることができる輸液ポンプ。クラスI医療機器。
アイデア賞の「アラーム検知之助」は、人工呼吸器やパルスオキシメータ等がアラーム発生時に発する光の色変化をカラーセンサーで検知して、スマートフォンにアラーム発生(時に写真も)を通知する機器。メドテックイノベーション大賞は、市販されている医療機器のうち大賞に応募したものの中から選ぶのが原則であるが、同製品は非医療機器ながら選ばれた。
選考委員は委員長の妙中氏のほか、クリストファー・イヴ氏(インフォーママーケッツジャパン株式会社代表取締役)、ジェームズ・ソバック氏(インフォーママーケッツジャパン株式会社マネージングディレクター)、谷下一夫氏(日本医工ものづくりコモンズ理事長/北里研究所)、小林英津子氏(東京大学大学院工学系研究科教授)、門川員浩氏(経済産業省商務・サービスグループ医療・福祉機器産業室室長補佐)、昌子久仁子氏(神奈川県立保健福祉大学シニアフェロー)、佐竹弘行氏(日本医療機器産業連合会常任理事)、渡辺順一氏(ゼオンメディカル株式会社代表取締役社長/前回大賞受賞企業)。
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